BリーグのA東京が、12月開催のホームゲームから前代未聞の集客作戦を展開する。10日の京都戦からホームの代々木第2体育館(東京・渋谷区)で、石けんのような香りを噴霧器で会場に拡散する。選手と観客との一体感を演出するのが狙いで、スポーツ会場では異例の試み。好調な観客動員をあの手この手でさらに加速させる。

 10日の代々木第2体育館で、観客はほのかな香りを感じるだろう。それが、A東京の新しい試みだ。「お客さんは清潔で高級感のある石けんのような匂いを感じていただけると思います。将来的には独自の香りを作り出して、その香り=A東京となるような一体感が生まれることを期待しています」と語るのは、演出を企画した恋塚唯ビジネスオペレーション部長だ。

 香りの演出は、ホテルやコンサート会場などが一般的。有名ホテルでは独自の香りを館内に漂わせ、匂いをかいだだけでそのホテルと分かるような演出を行っている。また、一部のコンサート会場ではアーティストのつけるコロンと同じ香りを会場に漂わせ、観客との一体感を出している。これに目をつけた恋塚部長が、バスケットの試合に香りを持ち込んだ。

 今回の演出では、宝石店やホテルのエントランスで使用される香りを会場にナノ粒子として噴霧器で拡散。会場が盛り上がった際には、より強めに噴霧するなどの演出も考えているという。

 Bリーグの中でも、A東京は地方都市の地域密着が難しい渋谷を本拠地にした都市型チーム。そこで、若者や家族を取り込むために知恵を絞っている。香りが入場客の60%を占める女性向けなら、家族向けは仮面ライダーとのコラボだ。10日公開の「仮面ライダー 平成ジェネレーションズ」のポスターをコピーしたバスケット版を制作。17日の北海道戦では5人の仮面ライダーが映画、テレビ以外では初めて一堂に会し、ハーフタイムショーに出演。試合後はコート上での記念撮影も予定している。

 9月の開幕からここまで、A東京はホームゲームで昨年より平均1000人以上増の観客動員を記録。「うちのライバルは他のチームの興行じゃなく、山ほどあるプレースポットやイベント、ライブ。1つの形にこだわらず、新しいものを取り入れて自分たちの形をつくっていきたい」と恋塚部長は話している。【桝田朗】

 ◆観客動員メモ Bリーグが11月2日に発表したデータによると、第6節までのホームゲーム平均観客動員数で1位は千葉の4595人、2位は新潟の3842人、3位は栃木の3562人。A東京は開幕戦の2試合がBリーグの主管となったため、2786人で18チーム中9位。それでも集客に苦しんでいると言われる旧NBL勢では千葉に続く動員数だ。代々木第2体育館の座席数3180人に対し、観客数は全4試合で80%を超すなど奮闘中だ。