17歳の三原舞依が会心の滑りで、初の世界選手権代表切符を勝ち取った。GP2戦ではスタミナ切れしたフリー。この日は最初の3回転ルッツ-3回転トーループから最後のスピンまで勢いが止まらない。12個の要素すべてに加点がつく、完璧な出来でテーマのシンデレラを華麗に表現した。「今シーズンでやっとノーミスできてうれしかった。全日本に出られて幸せというのがあって、その全日本が最高の舞台になって良かった」。目がうっすら潤んだ。

 2年ぶりの全日本。「会場が大きくて、楽しんで滑れた」。ちょうど1年前は病院のベッドの上だった。昨年12月に出場したジュニアGPファイナルの直後、関節が突然痛む病気におかされた。もう滑れないかもしれないという不安の中、三原を勇気づけたのは、憧れの浅田真央が滑る姿だった。スケートを始めたのは8歳。浅田真央が初出場初優勝した05年GPファイナルを見たのがきっかけだった。痛みで車いすでしか移動できない時期もあったが、何度も浅田の滑る映像を見て、自分を奮い立たせた。

 氷上に戻ったのは翌1月のアイスショー。ジャンプは2回転がやっとだった。1年たち、同じ場所で納得する演技ができたことに「ここまで戻ってこられてうれしい」と喜びがあふれた。初出場の世界選手権は、五輪の枠取りがかかる。「日本の代表として、悔いの残らない演技がしたい」。しっかり代表の重みをかみしめた。【高場泉穂】