10日現役引退を発表したフィギュアスケートの元世界女王、浅田真央(26=中京大)が12日、都内で引退会見を行い、冒頭で「感謝の気持ちを伝えたい」と笑顔で語った。

 白のジャケットと黒のスカートで会見場に登場し、「現役を引退する決断をしました。長い競技生活でたくさんの山がありました。この山を越えられたのも支えてくれた多くの人のおかげです。その感謝の気持ちを伝えたい」「復帰から2シーズン目で、頑張ろう頑張ろうとしてきましたが、(12位に終わった)最後の全日本選手権で『もういいんじゃないか』と思って引退を決意しました」「体も気力も出し切った。悔いはない」と話し、21年間の現役生活に別れを告げた。

 会見が終わり、最後の挨拶で感極まり涙があふれ出てきて後ろを向いてこらえるシーンもあったが、笑顔を取り戻して「新たな目標を見つけて、笑顔で前に進んでいきたい」と気丈に決意を語った。

 会見場には、テレビやウェブなど動画を撮影するカメラだけで40台が並び、関係者によると、取材陣は300人超が殺到した。

 5歳の時にフィギュアスケートを始め、12歳で初出場した全日本選手権で7位。トリプルアクセル、3連続3回転ジャンプを跳ぶ衝撃のデビューを果たした。15歳でGPファイナル初出場初優勝。16歳で全日本選手権初優勝。17歳で世界選手権初優勝。19歳で迎えた10年バンクーバー五輪でトリプルアクセルを計3度決めて銀メダルに輝いた。12年世界選手権で2年連続6位も同年GPファイナルで4年ぶりの優勝。13年スケートアメリカで優勝し、ファイナル含むGP全7大会制覇を達成した。14年ソチ五輪で6位に終わり、シーズン後に1年間の休養。18年平昌五輪を目指し、15年10月に復帰したが、今季は左膝のけがもあり、不調に苦しんだ。昨年末の日本選手権では、今季初めて最大の武器であるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に2度挑んだが、失敗。その後「気力もなくなりました」と説明。10日に引退を表明したブログの中では「復帰してからは、自分が望む演技や結果を出す事が出来ず、悩む事が多くなりました。そして、去年の全日本選手権を終えた後、それまでの自分を支えてきた目標が消え、選手として続ける自分の気力もなくなりました」などとつづっていた。