北京五輪の陸上男子100メートル、200メートルを驚異的な世界新記録で制したウサイン・ボルト(ジャマイカ)が17日にチェコのオストラバで行われたゴールデン・スパイクで100メートルに出場し、追い風2・1メートルの参考記録ながら9秒77で優勝した。4月に交通事故を起こして軽傷を負ったが、その強さは健在だ。

 今季3戦目の100メートルはスタートで大きく出遅れた。国際陸連によると、反応タイムは0秒206で「おそらく今までで2番目に遅いスタートだ」とボルト。だが後半ギアを入れ替える。「出遅れたのが分かったから取り戻そうと必死で走ったよ」。196センチの長身を生かした加速で2位に0秒31差をつける圧勝だった。

 事故後は5月17日に英国のマンチェスターで路上に特設した直線コースを走り、150メートルの史上最速となる14秒35をマーク。今月11日にカナダのトロントで行われた国際競技会では向かい風0・9メートルの条件下で10秒00と伸び悩んだだけに、ボルトは「9秒台を出せて本当にハッピーだ」と話した。

 今季は3月にジャマイカでの競技会で追い風2・3メートルの参考記録ながら9秒93で走っている。北京で出した世界記録は9秒69。8月の世界選手権(ベルリン)に照準を合わせる22歳が調子を上げてきた。(共同)