<陸上:高校総体>◇2日◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 陸上の男子3段跳びで、小西康道(白樺学園3年)が道高校記録にあと16センチに迫る15メートル34の好記録をマーク、道勢では1952年(昭27)の菊地慶一(函館東)以来56年ぶりの優勝を飾った。

 5回目までの跳躍が終わり、その時点で1位の岡部優真(福岡一)と15センチ差の2位。最後の6回目は、オレンジ色の鉢巻きを締めた。「伝説の鉢巻きなんです」。走り幅跳びで1年時は11位から6位、2年時は3位から2位に、最後の跳躍で巻き返した「縁起物」だった。「初めての感覚。まったく覚えていない」という無心のジャンプで岡部の記録を16センチ上回る逆転勝利だった。

 2日前、昨年2位だった走り幅跳びで、今年は6位に敗れた。親友でチームメートの皆川澄人が2連覇し、小西は惨敗に言葉を失った。「最低でも表彰台と思っていた。高校に入って初めて泣きました」。前日の走り高跳びも予選落ち。だが、これで3段跳びに集中できた。専門のスパイクすら1カ月以上履いていなかったが、14メートル82だった自己ベストを52センチも更新。皆川は4位と表彰台を逃し、走り幅跳びとは逆の結果となった。

 幕別から学校のある帯広まで列車通学。学校での練習を終え、幕別に戻ってから町営の陸上競技場で1人で練習を続けてきた。奥泉慶泰監督(45)は「最後は悔し涙を流したヤツが勝つ。皆川と2人で一緒にやってきたからここまで伸びた」と評した。「常に皆川がいるという危機感でやってきた。感謝しています」。走り幅跳び、3段跳びともにワンツーフィニッシュはできなかったが、2人ともに頂点に立った。最高の夏だった。【上野耕太郎】