<陸上:セイコースーパー大会>◇23日◇川崎市等々力陸上競技場

 男子ハンマー投げは室伏広治(33=ミズノ)が、最後の投てきで逆転優勝を飾った。今季最終戦には北京五輪金メダルのコズムス、同4位のパルシュら強敵も出場。5投目までパルシュに続く2位だったが、最終6投目に北京五輪5位入賞した記録(80メートル71)を上回る81メートル02を投げて逆転した。「(体調は)万全ではなかったが、技術的に良かったと思う。(今季)最後の試合で、最後にいい投てきができた」。2万人を超える大観衆の拍手に、両腕を上げて応えた。

 今月14日にドイツ・シュツットガルトで行われた世界ファイナルに急きょ出場して3位になった。しかし、現地の10度下回る気温の影響で風邪をこじらせ、帰国後は「練習もあまりできていなかったし、あまり(記録は)望んでいなかった」。前日会見もキャンセルしたほど。その悪条件下での好記録に、来季に向けた手応えをつかんだ。

 北京五輪の銀、銅メダリストのベラルーシ2選手がドーピング検査で陽性反応を示した。10月の最終結論次第では室伏が銅メダルに繰り上がる可能性もあるが「僕はハンマーを遠くまで投げるのが仕事。北京は終わったことだし、すでに来季のことを考えている」と室伏。来季はより多くの大会出場を計画している。【吉松忠弘】