<フィギュアスケート:GPファイナル>◇最終日◇13日◇韓国・高陽

 【高陽(韓国)=高田文太】世界女王の浅田真央(18=中京大中京高)が、逆転で3年ぶりにGPファイナルを制した。ショートプログラム(SP)2位で迎えたフリーは123・17点、合計188・55点。0・56点差でSP首位だった同年齢のライバル金妍児(韓国)を2・20点上回った。転倒もあったが、女子では国際大会で史上初めて、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2度成功。直後に滑った金に重圧をかけ、ミスを誘発し、優勝を手繰り寄せた。

 逆転優勝が決まった瞬間、浅田は目を見開いて驚いた。中継テレビ局のインタビューの合間にモニターで確認した金は、ジャンプでミスを連発していた。「もしや」の思いを押し殺していたが、次々と関係者が訪れては祝福されると、実感がこみ上げてきた。「真央を誇りに思うわ」というタラソワ・コーチとは何度も抱き合い、笑った。

 自らの手で運を呼び込んだ。冒頭、慎重にジャンプまでの軌道を確認すると、3回転半-2回転トーループを完ぺきに決めた。息つく間もなく、次は単発の3回転半も成功。史上初の快挙を達成すると、韓国ファンからも大きな拍手と歓声がわき起こった。

 真央

 ジャンプを降りた時は、すぐに次のジャンプもあって集中していた。認定されてうれしく思うし、すごく達成感もある。

 今季最大の目標を達成し、演技後にはテレビカメラに向かって、何度も笑顔で投げキスをした。

 一時は「負け」も覚悟した。後半に得点源だった2連続3回転の前半で転倒。10点前後の得点を失った形となった。金は今季2戦とも190点台を出しているだけに、合計188・55点では逃げ切れない。しかし、2度の3回転半成功にかけた浅田の執念が、金に無言の重圧をかけた。2週間前のNHK杯では2度の成功を目指したが、1度がわずかに回転不足と判定された。それだけに「(韓国に)入る前から2回跳びたいという気持ちがあったし、攻める気持ちを忘れずにいたかった。大きな自信になる」と胸を張った。

 表彰式では金から「おめでとう」と声をかけられ、笑顔で応じた。金との直接対決は、今年3月の世界選手権優勝に続き、05年にシニア転向後初の連勝。シニアでも3勝2敗と初の勝ち越しとなった。今大会前、浅田は「スピード感があるし、一緒に滑ることでいい刺激になる」と、金へのライバル心を隠さなかった。一方の金は「他の選手のことは気にしていない」と平静を装った。宿敵を受け入れた浅田と、目をそらした金。そんな心理状況も微妙に明暗を分けた。

 会見では「ヨナ選手とは同じ年ですごくいいライバルだと思う。これからもお互いに刺激を与え合えたらいい」と素直に話した。初対決の04年12月ジュニアGPファイナルで、初めて3回転半を跳んで完全優勝した。当時の金に大きな衝撃を与えた。それから4年後、再び3回転半が金から平常心を奪った。

 次の対決は来年2月、バンクーバー五輪の本番リンク「パシフィック・コロシアム」で行われる、4大陸選手権の可能性が高い。金の地元韓国での逆転優勝に続き、世界の舞台で再び打ち負かすことができれば、同五輪に向けて大きなアドバンテージとなる。