日大のスーパーエースが「YAZAWA魂」を胸に、箱根路を走る。日大は20日、東京・世田谷区のグラウンドで箱根駅伝に向けた練習を公開した。ケニアからの留学生ギタウ・ダニエル(3年)は、母国の先輩メクボ・モグス(山梨学院大4年)を超える2区の区間新樹立が目標。大ファンを公言するロック歌手・矢沢永吉(59)の曲を励みに、サクセスストーリーを頭に描き始めた。

 ビートルズに感化され、時に歌詞を口ずさむ。兄デビッドさんは、ソロ歌手としてデビューした。音楽に親しんできたダニエルは今、ロック界のカリスマ「YAZAWA」に目覚めた。

 「去年、友達の車の中で、曲がかかってた。いい曲だなと思って、レースの前にも聴いています」。好きな曲は「DON’T

 WANNA

 STOP」。男女の愛を歌った曲だが、ダニエルは「駅伝のタスキも同じ。止まれないから、次の人に渡したい」と、駅伝にも通じる解釈で、気持ちを高めていた。「止まらない

 Ha~Ha」も気に入っているという。

 箱根駅伝ではロック、ではなく、2区を希望する。前回は、2区で歴代1位タイとなる15人をごぼう抜き。しかし、記録は区間新のモグスに負けた。「この区間で、新記録を出したい。モグスは4年生だから、最後の箱根。私はモグスに、最後は勝ちたい」。

 ライバルとは、勝ったり負けたりの繰り返し。今年の全日本インカレは、5000メートル、1万メートルの2冠に輝き、競り勝った。11月の全日本大学駅伝では、区間新を出しながら、9秒遅れた。最後の直接対決が、箱根になる。堀込ヘッドコーチも「ダニエルの存在は大きい。まだ決まっていないが、当然、ポイント区間で走ってもらう」と期待しつつ「永ちゃんが好きとは、新鮮な驚き」とも言った。

 将来の目標はビッグだ。4年後のロンドン五輪はトラック、8年後は東京開催を想定してマラソンでの出場を頭に描く。「夢は世界記録。ハーフとかマラソンで出したい」。永ちゃんは昨年日本武道館で前人未到の100回公演を終えたばかり。ダニエルも記録を視野に入れ、箱根をきっかけに「成りあがり」を夢見ている。よろしく。【佐々木一郎】