信長の声が聞こえた!

 戦国武将織田信長の17代目の末裔(まつえい)で、フィギュアスケート日本代表の織田信成(22=関大)が1日、京都市中京区の本能寺を参拝した。信長が祭られる信長公廟(びょう)で手を合わせ、「信長の声が聞こえた。五輪で優勝して天下統一したい」。志半ばで命を絶たれた先祖の無念を晴らすべく、10年バンクーバー五輪での金メダル獲得を誓った。

 初めて足を踏み入れた「聖域」で、そっと手を合わせた。耳を澄ませば、天からのささやきが…。約400年前、無念の死を遂げた先祖からだった。

 織田

 信長から『頑張るんだぞ』という声が聞こえた。パワーをもらった。本当に頑張るしかない。自分にとって天下統一は五輪で優勝すること。信長はこの地で夢破れた。自分はその思いを継いで、しっかりした成績を残したい。

 不思議な話でも表情は真剣だった。くしくもこの日は信長の命日前日。ここから五輪シーズンが始まるだけに、言葉に力がこもるのも当然だった。20社49人もの取材陣を見渡し、注目度の高さを感じた織田は「鳴かぬなら

 メディアが多いな

 ホトトギス」と即興で一句詠んだ。

 10月から始まるGPシリーズ(全6戦)では、ともに初出場となる第1戦フランス杯と第3戦中国杯を選択した。「中国はあまり環境が良くないらしい。アウェーで戦うことで精神を鍛えたい」。信長は少数精鋭で今川義元を下し、破竹の出世を歩んだが織田も逆境に負けず、現代版「桶狭間の戦い」を再現して五輪へ弾みをつける覚悟だ。

 6月は国内アイスショーに出演し、7月上旬から欧州の小国アンドラで安藤美姫らと3週間の合宿。モロゾフ・コーチのもとで新プログラムを練り上げる。今年3月の世界選手権で初成功させた4回転ジャンプについては「コンスタントに決めたい。(ほかのジャンプとの)コンビネーションも練習している」と話した。

 信長の声を聞いた織田は「スケートだけじゃなく、今後の人生を謳歌(おうか)できるようにしてください」と心の中で祈った。今のフィギュア界は国内外に強豪ひしめく戦国模様。熱い血を受け継いだ織田が天下をとる。【大池和幸】