日本オリンピック委員会の竹田恒和会長は12日、広島市と長崎市の2020年夏季五輪招致の表明について、年内に国内候補都市を選定しないことを明言した。都内で「体育の日」にちなんだ「スポーツ祭り」に出席後「今年中には決められない。(16年五輪招致で国内候補を)東京か福岡か決めた時も(05年に)12年ロンドン五輪が決定した翌年だった」と状況を説明した。

 被爆地から核廃絶、平和を世界に訴える五輪招致の動きについては11日に「JOCとして歓迎したい」と話していた。だが16年五輪招致に敗れた東京も、石原慎太郎都知事が20年再挑戦に含みを残している。また共催では、1都市での開催を原則とする五輪憲章にそぐわない問題点もあり、慎重に協議していく方針だ。

 一方、現場サイドは共催について大賛成した。98年長野冬季五輪に出場したスキー複合の荻原次晴氏は「06年トリノ冬季五輪では移動に3時間かかった」と話し、00年シドニー五輪に出場した元プロ野球ロッテの黒木知宏氏は「アスリートはタフだから移動は大丈夫」と強調した。競泳男子で今夏の世界選手権100メートル背泳ぎ金メダリストの古賀淳也は「世界で非核を実現するために、実際に核兵器を使われた2市が五輪を開催することが必要」と共催を熱望。女子レスリングの吉田沙保里は「五輪を目の前で見られたらもっと夢が広がる」と期待した。