<横浜国際女子マラソン>◇15日◇横浜・山下公園前発着

 1年間で4度目のマラソンに臨んだ嶋原清子(32=セカンドウィンドAC)が、2時間28分51秒で2位に入った。36・5キロ地点で、08年北京五輪銀メダルのヌデレバ(ケニア)を抜いて順位を上げるなど、終盤の粘りを披露。8月の北海道マラソンを制し、12月のホノルルマラソン挑戦を予定するなど、実業団でないクラブチームの選手としての生きざまを示した。アビトワ(ロシア)が2時間27分18秒で、初代女王の座に就いた。

 風が舞う周回コースは、時に向かい風がきつくなった。だが、嶋原は先頭集団を引っ張った。30キロ地点でアビトワが抜け出す。3位に落ちたが、あきらめない。36・5キロでヌデレバを抜き、2位でフィニッシュ。「これでセカンドウィンドを知ってもらえたら…。これからもよろしくお願いします」とインタビューでチームをPRした。同時に、来年11月のアジア大会(中国)代表候補に浮上した。

 07年4月、資生堂を退社し、川越監督が立ち上げたクラブに参加した。実業団でなく、月給はない。約800人に増えた会員からの会費やスポンサー収入で運営される。クラブからの補助は、家賃だけ。レースで稼いだ賞金、出場料で生活する。昨年12月のホノルルを制し、今年3月の東京6位、8月の北海道優勝。実業団選手ではあり得ないローテーションも、クラブならではの事情がある。

 今大会も同じユニホームを着た市民ランナーの会員9人が出場した。「ウチのチームの魅力はそこです。会員が増えたら、頑張る力にもなる。そういう社会貢献にもなればいい」と嶋原。不況で廃部が相次ぐ今、こんな生き方もある。28日後、前回覇者としてホノルルを走る。【佐々木一郎】