政府の10年度予算概算要求のムダを洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」で25日、日本オリンピック委員会(JOC)など3団体への文科省からの補助金32億9600万円が「縮減」の評決を受けた。JOCには補助金の82・3%を占める27億1400万円が振り分けられ、五輪代表選手らトップアスリート強化費用となる予定だったが、評決を受け、12年ロンドン五輪に向けた選手強化計画に支障が出る可能性も出てきた。

 事業仕分けウオッチング第2ラウンドの2日目は、ついに五輪強化費も切られた。口火を切った蓮舫参院議員(41)はクールに「JOC、日本体育協会、スポーツくじのスポーツ振興センターに天下りはいますか」と質問。文科省側は「JOCに1人、体協に1人います」と説明した。蓮舫氏は「仕分け作業を通じて思うが、国家公務員OBが事業の主導力になっているのか」「本当に選手育成につながるのか」と指摘。「スポーツくじ事業などとの役割分担の見直し、スポーツ予算の1本化」を求め、「予算縮減」とした。

 具体的な縮減額は提示されなかった。評決に法的拘束力はないが、政府与党が目玉として推し進める「事業仕分け」だけに、実際の予算に影響が出る可能性はある。文科省側は「JOCがトップ選手強化、体協が生涯スポーツ指導者の育成で分野が違う」「サッカーくじはジュニア選手の支援が主体」と、事業の重複がないことを説明したが、25分間で議論は深まらなかった。納得できない表情の文科省職員は「実際の予算がどうなるかはこれからの話だ」と話した。

 仕分け人の1人は「ボブスレーやリュージュ」など具体的な競技名も挙げ、「マイナースポーツに補助金をつぎ込んでもメダルに届かないのでは」と質問。文科省側は「マイナーと言われるのは残念だ」と強い調子で反論し、「暖かく見守ってほしい」と話した。「『五輪は参加することに意義がある』はずだったが、今はメダルに意義があるのか」とのやや的外れな質問も。文科省側は「人間の限界に挑戦することも子供たちに夢を与える」と理解を求めた。

 来年2月のバンクーバー冬季五輪は09年度予算のため、影響は受けない。影響が出るのは10年度以降だ。JOC幹部は「補助金は例年約27億円。諸外国は、国からの補助が数百億規模だが、日本は10分の1程度。国策としての立ち遅れがあり、むしろ増額を希望していた」とし、「予算削減なら継続した選手強化に大きな影響が出る。スポーツ関係予算の意義を理解していただきたい」としている。【清水優】