<体操:全日本社会人選手権>◇2日◇山形・酒田市国体記念体育館◇男女団体および個人総合

 世界選手権代表の田中理恵(24=日体大大学院)が、個人総合で一般大会初優勝を飾った。最初の段違い平行棒で移動技のマロニーで落下したが、残り3種目を手堅くまとめ合計54・900点で3種目目までトップの美濃部ゆうを逆転した。

 田中の貫禄勝ちだった。最後は得意の跳馬。いつもの1回半ひねりを1回ひねりに難度を落として、ぴたりと着地を決めた。「しっかり着地をまとめることができた」。飯塚に次ぐ2番目の14・000点で、一般大会初優勝を決定付けた。

 それでも決して満足はしていない。今大会、全日本女王の鶴見虹子が直前に欠場。段違い平行棒では落下し、12・900点に終わった。だから「優勝はたまたま」と、一般大会初優勝にも感慨はない。また「全日本クラスだとめっちゃ緊張する」と、重圧も感じていた。

 10月5日開幕の世界選手権(東京)まで約1カ月。18日に試技会があるが、これが公式には同選手権前の最後の大会だ。「悪いところの原因は分かっている」。最高の結果に甘んじることなく、田中の目は、しっかりと世界に向いていた。