<男子テニス:国別対抗戦デ杯・世界グループ入れ替え戦、日本2-0インド>◇初日◇16日◇東京・有明コロシアム

 日本が1985年以来27年ぶりのワールドグループ復帰に王手をかけた。第1試合で世界ランク175位の杉田祐一(22=三菱電機)が、同65位で10年アジア大会単複2冠のソムデブ・デブバルマン(26)にストレート勝ちする金星を挙げると、第2試合でもエースの錦織圭(21)がストレート勝ちを収めた。杉田は仙台の実家が東日本大震災で被災した悲しみをバネに、日本に貴重な1勝をもたらした。今日17日はダブルス1試合が行われ、18日はシングルス2試合が予定され、3勝したチームが勝つ。

 勝利の瞬間、杉田が全身を震わせた。拳を握り締め、両腕で豪快なガッツポーズ。完璧なテニスで格上を翻弄(ほんろう)した。「本当にうれしい。死ぬ気で戦った」。シングルスでは世界175位で日本の4番手だが、竹内監督の抜てきに見事に応えた。

 持ち味のストロークで打ち勝った。ミスがなく、粘りが身上のデブバルマンをストロークで振り回した。竹内監督も「トップ50のプレーだった」と絶賛。1度もサーブゲームを落とさず、2時間32分でストレート勝ちした。

 仙台市出身で、実家は東日本大震災で屋根が壊れ、窓も破壊された。東京にいた杉田は地震発生3時間後にようやく家族の無事を確かめた。「仙台のためにも全身全霊で戦いたい」。その思いが金星につながった。この日も、第3セットの第4ゲーム後に両足がけいれんした。その時「仙台のみんなも頑張っているぞ」と声が飛んだ。「大丈夫と、気持ちが高まった」。07年中国戦で18歳4カ月の日本男子最年少勝利(当時)で鮮烈なデビューを飾った。紆余(うよ)曲折を経て、再び杉田が世界へのステップを踏み出した。【吉松忠弘】

 ◆杉田祐一(すぎた・ゆういち)1988年(昭63)9月18日、仙台市生まれ。7歳でテニスを始め、05年高校総体優勝。06年にプロ転向し、09年東アジア大会シングルス金メダル。昨年、全日本選手権に初優勝した。デ杯は07年中国戦で代表デビュー。シングルス4勝4敗。自己最高世界ランクは162位。174センチ、66キロ。