フィギュアスケート日本男子のエース高橋大輔(26=関大大学院)が、14年ソチ五輪での悲願の金メダルに向け、異例の「3頭体制」を敷く。GP(グランプリ)シリーズは、19日からのスケートアメリカ(シアトル)で幕を開ける。五輪プレシーズン本格始動を前に、高橋が日刊スポーツのインタビューに答え、3人のコーチによる“トロイカ体制”で挑む決意を語った。長光歌子氏(61)本田武史氏(31)に加え、ニコライ・モロゾフ氏(36)が4年ぶりに加わる新陣容になる。

 新しい挑戦を決めた高橋の声が、少し高揚していた。中学生から指導を受ける長光氏、ジャンプで教えを請う本田氏、そして、08年以来4年ぶりに復帰するモロゾフ氏。新たな3人コーチの「チーム・ダイスケ」が動きだす。

 高橋

 僕の中ではコーチが3人というイメージです。メーンコーチが1人でなく3人。ニコライ自身も僕たちが今までやってきたことをすごく尊重してくれている感じが伝わってくるので、特に変化はない。1人より2人、2人より3人。すごく心強いかなと思う。

 荒川静香をトリノ五輪金メダルに、安藤美姫を07、11年世界選手権優勝に導いたモロゾフ氏。08年まで3年間教わった名指導者からのオファーは3月の世界選手権前。2カ月半悩んで決めた。9月にはロシアで久々の指導を受けた。以前との違いを感じるという。

 高橋

 今まで以上に「どう思う?」とか聞いてきます。ちょっとニコライ自身も変わったのかな。動きやすさを重点的に気にしてくれる人なので、演技の助言より、「こっちの方が動きやすいんじゃないか、ジャンプが跳びやすいんじゃないか」とか。手直しをしてくれている感じです。

 以前の「全権監督」より、動きの無駄を省く「省エネ担当」。見通しは明るい。今季初戦となった6日のジャパンオープンでも4回転も2本中1本は成功、上々の出来だった。

 高橋

 僕も含めて4人で探り探りの状態でしたが、良い緊張感を持ってやっています。

 GPファイナルの舞台がソチであることも、高揚感に拍車をかける。五輪と同じ会場-。

 高橋

 準備で、そこの景色を見ることはすごくプラス。知っている場所に行く方が気持ちの面ですごく楽です。

 いまだGPファイナルを制した日本男子はいない。

 高橋

 GPシリーズ2戦とも安定した演技、成績を取らなければいけない。ファイナルは1度も取ったことがないので、結果として優勝できれば。

 指導体制の新たなチャレンジの先に、新たな地平は広がる。出場へ向けた初戦の中国杯(11月2~4日、上海)まで半月あまり。ソチで表彰台の頂点を射抜く戦いへ、歩み出す。