元競泳日本代表同士で結婚した寺川綾さん(29)に続き、12年ロンドン五輪代表同士の結婚が1日、明らかになった。昨季まで自由形のエースとして活躍した上田春佳さん(26)と同五輪男子200メートルバタフライ代表の金田和也さん(26)が11月に結婚する。上田さんは同五輪で寺川さんらと組んだ女子400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得。金田さんは76年モントリオール五輪代表の幸子さんを母に持つ、水泳界のサラブレッドだ。

 トップスイマー同士の結婚ラッシュだ。元日本代表の寺川&細川に続き、今度はロンドン五輪代表の上田&金田がゴールインする。ジュニア時代からトップスイマーだった2人は高校生時代から交際を開始。12年ロンドン五輪は同時五輪出場を果たし、上田さんは銅メダルを獲得した。

 互いの存在なくして、2人の水泳人生の成功はなかった。金田さんの実家は母幸子さんら多くの五輪代表を輩出した名門金田SC。サラブレッドはジュニア時代からタイトルを獲得してきたが、八王子高3年時に悪夢に襲われる。体育祭で転倒し、左肘を粉砕骨折。砕けた骨をつなぐ再生手術を受けたが、医師からは引退を勧告された。

 手術から2カ月後に泳ぎを再開したが、持ち前の豪快な腕の旋回は戻らない。法大3年時だった08年北京五輪出場は逃す。そのとき支えだったのは同五輪に出場した上田さんの存在だった。テレビに映る彼女を見て「絶対に自分も五輪に行きたい。次は一緒に出る」と決意した。

 北京五輪に出た上田さんだったが、その後は決して順風満帆ではなかった。10年暮れに足を負傷し、ぎっくり腰も起こす。翌11年春には大腸炎を患う。高熱と腹痛に見舞われ、泳げない時期も続いた。苦しい日々だったが、腕のケガを抱えた金田さんがロンドン五輪に向け必死になっている。諦めるわけにはいかなかった。

 12年4月の日本選手権で、2人はロンドン五輪切符を勝ち取った。同時五輪出場は、絆の強さの証明でもあった。現在はともに現役を引退。上田さんは選手時代の所属先キッコーマンで社員として勤務。金田さんは実家の金田SCでコーチを務める。結婚式は11月を予定。オリンピアンカップルには後進の育成にも期待が高まる。

 ◆金田和也(かねだ・かずや)1987年(昭62)11月5日、東京都生まれ。八王子高から法大を経て金田SC。12年ロンドン五輪は200メートルバタフライ準決勝敗退。母幸子さん(旧姓山崎)は76年モントリオール五輪の自由形代表。金田SCの創設者の祖父平八郎さん(享年85)は多くの五輪スイマーやのちの元大関貴ノ花らを指導。172センチ、66キロ。

 ◆上田春佳(うえだ・はるか)1988年(昭63)4月27日、東京都生まれ。5歳から水泳を開始。武蔵野高2年だった05年世界選手権で代表デビュー。日大2年時の08年北京五輪出場。日大卒業後の11年にキッコーマン入社。12年ロンドン五輪出場。100、200メートル自由形の日本記録保持者。177センチ、68キロ。