バスケットボール男子のナショナルリーグ(NBL)は7日、都内で会見を開き、和歌山から退会届が提出されたことを発表した。リーグ期間中にもかかわらず、10月に経営破綻したつくばに続く2チーム目の経営破綻で、トップリーグとしての管理能力が再び問われることになった。

 休部したパナソニックを引き継ぎ発足した和歌山は、NBL初年度の昨季に準優勝した。だが、昨オフには14選手中10選手が自由契約となり、昨季は50社以上あったスポンサーが数社に減るなど経営難に。新規の支援者はなく、丸尾充理事長は「地元の協力が得られなかった」と説明した。

 つくばの場合は、新運営法人が設立するまでの「つなぎ」としてリーグがチームを管理下に置いた。同理事長は「つくばは経営破綻前から(次の)支援者が具体的に見えていた。(和歌山は)先の姿が見えない」と顔を曇らせる。この日退会届を受け取った後に、和歌山県協会からチーム存続へ向けた活動意志を示されたと明かしたが、先行きは不透明だ。

 21日にはアイシンと敵地での試合が組まれている。新運営法人の道筋がつけば、期間限定で管理下に置き、試合を実施する可能性はある。もし、引き継ぎ先が決まらず完全消滅すれば、5月まで続くリーグ戦の日程再編などでリーグ自体の運営にも大打撃となる。

 日本協会のガバナンス(組織統治)問題などが問われ、国際連盟(FIBA)から無期限の資格停止処分を受ける最中でのトップリーグの異常事態。険しい道が続く。【阿部健吾】

 ◆和歌山トライアンズ

 52年創設の強豪パナソニックが12~13年シーズンで活動休止後に、同社の創業者松下幸之助氏の生誕地である和歌山で発足。リーグ参加権を譲渡され、チーム名の「トライアンズ」も引き継いだ。13~14年シーズンは41勝13敗でプレーオフに進んだが、決勝で東芝に敗れ準優勝。経営面では有料観客動員の低迷などで苦しみ、昨オフに選手10人が自由契約に。14年6月に運営会社を刷新して今季に臨んでいた。本拠地はノーリツアリーナ和歌山。