ラグビー日本代表に強力な新戦力が加わるかもしれない。元オーストラリア代表ロックのヒーナン・ダニエル(33=パナソニック)が17日、7人制の日本代表として初出場したワールドシリーズ米国大会(ラスベガス)から帰国。このまま7人制に名を連ねれば15人制のW杯イングランド大会(9月)出場資格を得られる。W杯イヤーに、大きな可能性が広がった。

 午後4時、ヒーナンは1人、成田空港の到着ロビーから姿を見せた。米国での試合を終え、高校以来という7人制に「すごくスピーディーで疲れた」と苦笑いした。瀬川ヘッドコーチ(HC)は「たった2日間の練習で試合をしても、キックオフのボールをしっかり取れる。やはり能力は世界基準」と高く評価した。

 頼もしい存在だ。日本人は9人しか挑戦していない世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」で4年間プレー。「新しい環境に挑戦したい」と加入したパナソニックでも、4度トップリーグのベスト15に選ばれた。昨年8月に日本国籍を取得。ヒーナンによると、15人制日本代表のジョーンズHCから「資格を得て、このままいいプレーを続ければ選出の選択肢になる」と言われているという。選出されれば、元神戸製鋼のイアン・ウィリアムス以来2人目のワラビーズ(オーストラリア代表の愛称)経験者となる。

 ヒーナンは日本で肉体を進化させた。体重は現在108キロで、体脂肪率は6%しかない。毎日納豆を食べ、魚や野菜も好んで食べるうちに脂肪が減り、体が締まった。「一番好きなのは広島のお好み焼き。東京のお店とは少し味が違う」と食通ぶりも披露した。

 今季の7人制ワールドシリーズは残り4戦ある。そのうち3戦で試合に出られれば、今年9月の15人制W杯にも出場が可能になる。ヒーナンは「日本代表として世界の強豪に挑戦したい」と意気込んだ。イングランドの大舞台も見据えながら、まずは7人制で日本のリオ五輪出場に力を注ぐ。【岡崎悠利】

 ◆ヒーナン・ダニエル

 1981年11月17日生まれ。オーストラリア・ブリスベン出身。ポジションはロック。6歳でラグビーを始める。02~05年度シーズンまでスーパー14(現スーパーラグビー)のレッズ、06年度は同リーグのブランビーズでプレー。07年度からパナソニックに入団。趣味はゴルフ。苦手な食べ物はゴーヤー。196センチ、108キロ。家族は妻。