北北海道の旭川龍谷が39年ぶりに花園出場を決めた。北見北斗を13-7で破った。0-7で迎えた後半に1回戦ではリザーブ(控え)だったNO8鈴木チライ副主将(3年)が2トライを奪うなど、13-7の逆転勝利で79年以来3度目の夢舞台をつかんだ。12月27日に開幕する全国大会(大阪・花園)に出場する。

劇的な逆転勝利を告げるノーサイドの笛が鳴った。旭川龍谷フィフティーンは歓喜の声を響かせた。天を仰ぎ涙をこらえる者、ひざをついて立ち上がれない者。湯口龍雅主将(3年)は思いを代弁した。「(優勝候補に挙げられ)プレッシャーは感じていたけど、1年間、つらい練習をしてきたので、後半に自分たちのときがくると信じていた」。序盤の劣勢をはね返し、38年間閉ざされていた重い扉を、こじ開けた。

前半、敵陣でパスを展開し、攻め続けながら、19分にトライを許した。北大会で過去6戦6敗の北見北斗が相手。重苦しい雰囲気が漂った。それでも小西良平監督(41)は、選手を信頼していた。「集中していたので、何も声はかけなかった」。

信頼に、応えた。後半開始直後の2分。NO8鈴木がゴール前のマイボールスクラムからこぼれ出た楕円(だえん)球をキープ、そのままトライを奪った。18分にも再び鈴木がインゴールへ持ち込んだ。旭川支部予選で審判に抗議し「感情のコントロールができなかった」(同監督)と、今大会初戦でスタメンから外された。鬱憤(うっぷん)を晴らした副主将は「無我夢中で奪った。試合に出たかった気持ちが出せた」と、喜びの感情を爆発させた。

就任16年目の指揮官は、積極的に練習を見直してきた。札山の手が導入した3、4人を相手に1~2人で攻める、ハンドリングの上達練習を知り、すぐに実践。伝統の走り込みに加えて、冬場は陸上部の外部コーチに走り方を教わった。鈴木は「出足の1歩が速くなった」と実感した。

鈴木を含め、この日のスタメン中8人は、旭川市のラグビースクール出身。同スクールの指導者で79年花園メンバーのOB星敏幸氏(56)はこの日、応援に駆けつけ、歓喜の瞬間を見届けた。「選手が一生懸命頑張ってくれた。花園でまずは1勝してほしい」。鈴木は「いま以上に練習をして(スローガンの)60分間走り回って勝ちたい」。39年ぶりの夢舞台でも、勝利を目指して一直線に突っ走る。【浅水友輝】