大相撲夏場所千秋楽の結びの一番で起きた両横綱の「ケンカ」が、わずか10分で一件落着となった。日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は27日、朝青龍(27=高砂)と白鵬(23=宮城野)を両国国技館に呼び、それぞれ約5分間の口頭注意を与えた。26日の横綱審議委員会(横審)の「けんか両成敗」要請をすぐに実行に移し、両横綱も反省の言葉を述べた。世間を騒がせた横綱の醜態だったが、あっさりとした決着だった。

 午後1時8分に北の湖理事長が国技館に到着。その6分後に白鵬、さらに10分後に朝青龍が入室し、それぞれ約5分間、理事長と武蔵川(元横綱三重ノ海)伊勢ノ海(元関脇藤ノ川)両理事から口頭注意を受けた。両横綱合計で10分。北の湖理事長の到着後、20分ほどで、すべてが終わった。

 千秋楽以降、初めて公の場に出た朝青龍は「理事長から厳しく注意を受けました。深く反省しています」と話した。白鵬も「土俵外でも冷静であることを求められました。申し訳ないという気持ちです」と素直に反省した。だが、お互い相手にわびる言葉はなし。理事長室へも顔を合わせないように別の入り口を使い、両横綱の和解をアピールする場面はなかった。

 北の湖理事長は「3人で、それぞれ感じたことを2人に通告した。普段の生活や、横綱としての毅然(きぜん)とした態度をとるように言った」と説明。その一方で「横審からの要請があったから2人を呼んだ」「(相撲の)流れは誰にもある。あとの結果が一番大事なこと」と朝青龍のダメ押しは流れで、反撃した白鵬が悪いという考えは不変のようだ。

 横審の翌日の迅速な対応。だが、形式的にも感じられた。協会の再発防止検討委員会委員で漫画家のやくみつる氏は「朝青龍に関しては、初めてのトラブルじゃない。『次に厳重注意を受けるときは、さらなる処分を受ける』という一筆をとってもよかったと思う」と、具体的な抑止力を持つものが必要との考えを示した。両横綱が「次にトラブルを起こしたときに次はない」という意識をもてるかが再発防止のカギになる。