日本相撲協会は1日、大相撲春場所(14日初日、大阪府立体育会館)の新番付を発表した。先場所東十両2枚目で10勝した島根・隠岐の島町出身の隠岐の海(24=八角)が、同県勢88年ぶり、隠岐諸島から初となる新入幕を果たした。関脇把瑠都(25)は大関とりへ自信満々。幕内歴代最小兵となる身長167センチの磋牙司(28)と、桐山部屋初の幕内力士となるモンゴル出身の徳瀬川(26)も新入幕を決めた。

 故郷への思いを、しっかり感じていた。隠岐の海は、大きくなった番付のしこ名を見詰め「思い出に残る力士になりたいですね」とつぶやいた。島根県の北約50キロに浮かぶ隠岐諸島の島後、隠岐の島町出身。島相撲が盛んな同諸島から初めて幕内力士が誕生した。島根県からも、1922年(大11)春場所の若常陸と太刀ノ海以来、88年ぶりとなる新入幕。「島根は温かい人が多い。恩返しするには勝つしかないですね」と口もとを引き締めた。

 人口約1万5000人の町も、歴史的な日だった。町役場では両親が出席して、記念式典を開催。母校隠岐水産高でも「新入幕祝い」の臨時集会。観光協会は、春場所初日の応援ツアー開催を決めた。

 190センチ、151キロと恵まれた体で、3場所連続不在だった新入幕力士になった。師匠の八角親方(元横綱北勝海)に突っ込まれながら「2ケタ勝って敢闘賞狙います」と宣言。「似てると言われるのは、くりぃむしちゅーの有田さん…」と言うが、十両でも黄色い声援を浴びた端正なマスクも注目を集める。朝青龍や千代大海がいなくなった土俵で、躍進を狙う国産の「イケメン」ホープ。期待するのは、故郷だけじゃなさそうだ。【近間康隆】