元関脇貴闘力の大嶽親方(42)が、野球賭博への関与を認めていたことが17日、分かった。日本相撲協会が実施した「上申書」で関与を自己申告し、16日までに警視庁の事情聴取でも認めたという。この日は協会の生活指導部特別委員会から事情を聴かれた。協会はこの日、21日午後1時から緊急理事会の開催を決めた。大嶽親方の問題も話し合うとみられ、野球賭博が暴力団関係者と関係していた場合、厳罰は必至。元横綱大鵬から継承した「大鵬道場」が消滅する可能性も出てきた。

 日本相撲協会が14日に回収を締め切った上申書で、大嶽親方は野球賭博にかかわったことを記述していた。29人が野球賭博への関与を認めており、この中に含まれているという数人の親方の1人は、大嶽親方だった。さらに警視庁による事情聴取でも、関与を認めていた。大関琴光喜も同様だが、力士を指導する立場の親方が明らかになるのは初めてのケースになった。

 17日発売の週刊新潮でも野球賭博へのかかわりをあらためて報じられ、協会の生活指導部特別委員会から、幕内豊ノ島(時津風)とともに事情を聴かれた。午後1時半前に東京・両国国技館に入り、1時間以上にわたって事情聴取。八角広報副部長(元横綱北勝海)は「(内容は)警視庁の指導により公表できません」とした。だが、関与を認めたとの報道には「指導する立場の人がそうなるのは、非常に残念です」と話した。

 東京・江東区の部屋に戻った大嶽親方は、騒動を陳謝し「相撲協会と警察の方に全部ゆだねていますから、自分からは何も言えません。自分は逃げも隠れもしません。時期が来たらお話しします」とコメント。テレビカメラ12台、報道陣約70人の前で頭を下げた。

 日本相撲協会では、上申書で自己申告した者については「厳重注意」にとどめる方針だった。ただし、警察の捜査がすすみ、暴力団とのかかわりが判明した場合は、厳罰を科される可能性が高い。名古屋場所で手配したチケットが、暴力団の手に渡るなど、交際を認めた木瀬親方(元前頭肥後ノ海)は、部屋取りつぶしの処分を下されたばかり。最悪の場合、大嶽部屋が存続の危機にさらされる。

 現役時代、気迫あふれる相撲で人気を集め、94年には元横綱大鵬の三女と結婚し、養子となった。02年秋場所後に引退し、大鵬部屋の部屋付き親方になった後、04年から部屋を継承した。部屋には「大鵬道場」の看板も掲げられる。

 現在は約6億円をかけた新築工事が行われている。来年6月に完成し、新たな船出を予定していたが、大ピンチに直面した。