日本相撲協会の貴乃花親方(37)が、4日の臨時理事会で、解雇処分となった大関琴光喜(34=佐渡ケ嶽)の処分軽減を強く主張。却下されたことで協会からの退職願を提出したが、受理されなかったことが分かった。2月の協会理事選で、貴乃花親方が二所ノ関一門を離脱し立候補した際に、琴光喜は、同親方に1票を投じていたとされる。野球賭博問題の処分などを話し合った理事会で、野球賭博とは関係ない貴乃花親方の思わぬ辞任騒動が持ち上がった。

 協会関係者によれば、貴乃花親方は琴光喜の処分について「十両最下位からでもいいから出直させてやってほしい」と主張した。今回の野球賭博問題では、ことの発端となったが、同じく解雇処分を受けた大嶽親方の証言によって、同親方に利用されたということが判明。他の親方や、力士の間からも処分の軽減を求める声が上がっていた。

 しかし、臨時理事会では、琴光喜が理事会の事情聴取に対しウソをついたことを重視。大関の立場ということもあり、厳罰を科す方針を最後まで貫いた。

 また、貴乃花親方にとって、琴光喜は今年2月の日本相撲協会役員改選で、理事立候補した親方に1票を投じたとされる支持者でもあった。

 貴乃花親方は、自らの主張が受け入れられないと、協会からの退職願を提出した。理事の辞職願という情報もある。出席者によれば、この行為には他の理事が反発。武蔵川理事長は「こういう状況だからこそ、君がしっかりしなければならない。あまりにも無責任すぎる」と慰留。村山理事長代行が「これは受け取れません」と突き返したという。

 野球賭博問題では、琴光喜とともに解雇された大嶽親方、平年寄に10年据え置きとなった阿武松親方(元関脇益荒雄)ら、貴乃花グループのメンバーが一斉に処分された。貴乃花親方は責任を感じていたという。

 貴乃花親方は、一時部屋全体が謹慎処分となった阿武松部屋についても、理事会で「関係ない力士には相撲を取らせてほしい」と提言。阿武松部屋は、半数近くが名古屋場所で相撲を取れるようになった。さらに、降格し10年間平年寄据え置きとなった阿武松親方の処分についてもこの日の理事会で軽減を主張したという。理事会に臨む前、親方は、周囲に「自分の身をとして臨む」という決意を漏らしていたという。

 ただ、改革を叫び高い志を持って協会の理事になった貴乃花親方が、自分の主張が通らないと退職願を提出した行為は、軽率のそしりを免れない。相撲界が再スタートを切るべく話し合った節目の理事会での辞職騒動は、今後の親方の活動にも影響を与える可能性もある。