3場所連続全勝優勝中の白鵬(25=宮城野)が、横綱流の「かわいがり」で、野球賭博に関与した関取に再起を促した。6日、新潟・南魚沼市で始まった夏巡業のけいこで、7月の名古屋場所を謹慎休場した幕内豊響(25)を申し合いの相手に指名。7番こなし、1番こそ不覚を取ったが、勝った6番はすべて相手を土俵にはいつくばらせ、泥まみれにさせた。「お祝い」と表現した白鵬からのメッセージで、残る4つの巡業でも謹慎明け関取を申し合いの相手に指名すると宣言した。

 大トリで土俵に上がった白鵬は、迷わず豊響を指名した。寄り切りで相手の足が土俵を割ろうとする寸前に、だめ押し気味にすくい投げで地べたをはわせた。他の力士が次の対戦に名乗りを上げたが、白鵬はそれを制して再び豊響を土俵に上げた。そして、また投げた。さらに豊響を呼び寄せ…。2人だけの異様な世界に、会場も静まり返った。

 5番目に豊響が意地を見せ、白鵬を一瞬早く押し出したが、あとは一方的だった。最後は立ち合いで脳振とうを起こし、豊響が崩れ落ちる格好で計7番。最後の1番も含めて、白鵬が勝った6番はすべて豊響を転がした。髪は落ち武者のように乱れ、全身泥だらけの豊響に「頑張ろうな」と声をかけ、さらにぶつかりげいこで胸を出した。

 まさに「かわいがり」だった。白鵬は「よく戻ってきた。お祝いの指名だ。謹慎も明け、頑張ってもらいたいと思ってやった」と振り返った。野球賭博に関与した力士は、名古屋場所を謹慎休場したことで秋場所(9月12日初日、両国国技館)の番付急降下は必至。泥まみれになってもはい上がってきてほしいという、メッセージだった。

 白鵬

 彼らもカベがあると思うが、それを壊してほしい。『1人はみんなのために、みんなは1人のために』。伝統と文化を守っていきたい気持ちがある。

 豊響も「愛情を感じました。横綱とけいこできるうれしさを感じた」と振り返った。

 豊響が脳振とうで、申し合い続行不可能になった際には、白鵬は同じく謹慎処分を受けた豪栄道を指名。豪栄道は故障で、けいこをできなかったが「明日は若荒雄だ。(今回の巡業では)謹慎者を選んでやっていく」と宣言していた。【高田文太】