大相撲の「八百長問題」の余波が、横綱白鵬(25=宮城野)を直撃した。春場所(3月、大阪)の中止決定から一夜明けた7日、契約する住友林業、富士ゼロックスが相次いでCMの放送中止を決めた。サッポロビールの契約も終了したため、角界の顔がテレビCMから完全に消えることになった。さらに出演予定のイベントもすべてキャンセル。この日からモンゴルに一時帰国する予定を急きょ取りやめたが、会見をキャンセルした6日に続き、再開された部屋での稽古を体調不良で休んだ。

 白鵬がテレビから、そして公の場からも姿を消す。八百長問題を受けて、1月22日から白鵬のCMを放送していた富士ゼロックスはこの日、急きょ中止を決定した。5日から放送開始予定だった住友林業は、今回の問題が浮上したことで保留し、6日の春場所中止を受けて、1度も放送しないまま中止を決めた。両社とも再開は未定。サッポロビールは問題が浮上した直後までの契約だったため、そのまま終了した。

 昨年は白鵬のCM契約は富士ゼロックス1社のみだった。野球賭博事件で力士のイメージも著しく下がっていた。だが、63連勝を飾り、今年1月の初場所では6連覇と、ともに史上2位の記録を達成。暗い角界を1人で支えた功績は、今年3社に増えたCMが物語っていた。そんな「角界の顔」となった白鵬の功績を、八百長問題が一瞬にして吹き飛ばした。

 当面のイベント出演もすべて取りやめた。12日は石川・七尾市で元横綱の輪島大士氏とのトークショーなどが予定されていた。輪島氏は「今年で5年目だった。関係者を通じて(キャンセルの)連絡が今日(7日)入った」。20日に予定されていた青梅マラソンのスターターも断った。今後のテレビ出演の予定も入れていない。この日の母国モンゴル帰国予定も取りやめ、現地での勲章の授章式が延期となっていた。

 一方で体調不良のため稽古もしなかった。6日は春場所中止決定を受け、力士会会長として会見を要請されたが、同じ理由で断っていた。八百長問題が発覚した2日には、稽古後「1人では無理だね。全体が良くならないと…」と語ったが、3日以降は無言を貫き、この2日間は姿も見せていない。部屋には宮城野親方(元前頭竹葉山)の署名入りで「稽古見学をお断りさせて頂きます」と紙が貼られた。同親方は「場所が中止になったことについては、一言も言っていない。明日(8日)は(稽古に)来るかもしれない」とだけ話した。

 活力にしていた朝青龍の持つ史上最多7連覇への挑戦も足踏みとなり、心労が体調に影響した可能性もある。観光大使を務める徳島県では10月に巡業を開催予定だったが、相撲協会が年内の巡業をすべて中止と決め、消滅した。白鵬鹿児島県後援会は7月に予定していたモンゴル旅行の見直しに入った。7連覇に挑むはずだった白鵬を取り巻く環境は、大荒れ模様となってきた。【高田文太】