日本相撲協会の親方衆や行司の代表らによる評議員会が3日、東京・両国国技館で行われ、八百長問題の処分に理解を示した。実態解明に当たった特別調査委員会や、処分を決めた理事会のメンバーから説明を受け、4時間以上にわたって質疑応答などを繰り返した。しこりは残るものの、角界の将来のために処分を受け入れた。一方、出席した親方衆の中から、星のやりとりは八百長に相当しないという、八百長撲滅を根底から否定する仰天発言も飛び出し、角界の非常識ぶりが浮き彫りにされた。

 評議員会では、相撲界の「八百長」に関する認識不足が明らかになった。調査委の山本浩委員は「質問は、ほとんどが証拠の認定に関するもの」と言いながら「中には、星の回し合いは八百長じゃない、という意見もありました」と明かした。驚く報道陣に「いろいろ考えはありますねえ」と同委員も苦笑い。「金銭のやりとりがないのに、処分はおかしいということなのでしょう」と、半ばあきれた様子で付け加えた。

 1日の理事会後の会見では、調査委の深沢直之委員が「相場は星1つ40万円ということだが、現金の動きは確認できなかった。すべては星の貸し借りだった」と説明している。

 金銭授受の有無ではなく、故意に勝敗を操作したことが問題なのだ。真剣勝負の大原則をないがしろにし、勝負を楽しみに大相撲を支えてきたファンを欺く行為が、大きな社会問題になった。それが、この期に及んで「星の回し合いは八百長じゃない」という仰天発言。これが、力士を指導する立場の親方の言葉だ。

 さらに、驚きは続いた。「星の回し合いは八百長ではない、という意見もあったようですが」という質問に対して、ある協会理事は「私も金銭の授受があるのが八百長で、星の貸し借りは違うと思っている」と口にした。八百長への関与力士を処分して、再発防止へ相撲界を引っ張っていくべき立場の理事までもが「金銭の受け渡しがなければ」という考えだ。八百長に対する認識の甘さが、まだ角界に厳然として存在することを露呈した。

 再出発を目指す相撲界の前途は多難といえる。複数の「元力士」の発言によって「星の貸し借りは問題なし」という角界だけに通用する考えが根強く残っていることが分かった。23人を処分しても、この認識が変わらない限り再び同様の問題が起こるのは間違いない。再発防止への第1歩は、力士はもちろん、親方、協会まで相撲界全体が八百長問題を正しく理解することだ。