大相撲の技量審査場所が今日8日、初日を迎える。7日、初日前日の恒例行事である土俵祭りが、会場となる東京・両国国技館で行われた。参列した横綱白鵬(26=宮城野)は、土俵に向かって謝罪したことを明かし「土俵でなくしたものは、土俵で取り戻すだけ」と明言。八百長問題で春場所が中止となり、4カ月ぶりに開催する「場所」で、熱戦の展開を約束した。

 土俵祭りに参列した白鵬は目をつぶり、心の中で2度謝った。1度目は冒頭で東の方角を向き、東日本大震災で亡くなった被災者に向けた黙とうの時だった。「こういう状況で、相撲をやっていいのかという気持ちがあった」という、後ろめたい気持ちがあった。もう1度は土俵祭り中盤。土俵を清めている時だった。「土俵でなくしたものは、土俵で取り戻すだけ」。八百長問題で25人もの親方や力士が角界を去り、信頼を失墜させた土俵に謝った。

 今場所は天皇賜杯や懸賞をはじめ、外部表彰をすべて辞退するなど、興行色を極力排した形で行われる。より取組に焦点が集まるだけに「今まで以上に、いい相撲を取るよう努力する」と、八百長が消滅したことを、自ら先頭に立って熱戦でアピールするつもり。史上最長タイの7連覇がかかるが「その気持ちはどこかに置いておく。勝ち負けではない」と、言い切った。

 被災者への後ろめたい気持ちは、新たに義援金を送ることで少しは和らいだ。自身が所有する羊が主人公となり、今月発売予定の絵本「こひつじハイル」の売り上げの一部を復興支援に充てると決めた。土俵に集中できる環境が整い、世間の疑惑の目とも戦う。「多少そういう目で見られるのは承知の上」と、八百長問題の真の解決に挑む。【高田文太】