阪神守屋功輝投手(25)がプロ5年目で、初勝利を挙げた。1点差に迫られた4回2死一塁から登板すると、4人を完璧に抑えた。好リリーフの右腕を、日刊スポーツ評論家の中西清起氏が解説した。

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守屋はあっぱれなヒーローだ。1点差に迫られた4回裏2死一塁で岩田を救援した。直前の菅野の適時打内野安打は巨人のリクエストが成功したもので、球場全体のムードも完全に巨人に移った。しかも原監督は前の打席で本塁打を打った石川に代えて左の重信を代打起用。阪神ベンチも予想外であろう心理戦が展開されたが、守屋は動じず重信を内野ゴロにねじ伏せた。

その力投に応えるように直後の5回表、福留が菅野から2点リードに広げる千金の1発。これで流れは再び阪神に来たが、それを一気に加速させたのが守屋だ。その裏は2番からの嫌な打順だったが坂本勇を真っすぐで左飛、丸は148 キロ で見逃し三振、岡本は150 キロ で空を切らせた。グイグイ押した3人斬りが6回の菅野KOにつながった。

一番の良さは打者に向かっていく気迫。そして150 キロ 台の真っすぐも変化球も目いっぱい腕を振れたことだ。打者から見てストライクを置きにいく投手が一番怖くない。逆に腕を振ってくる投手が一番怖い。それも150 キロ の球威があれば、少々甘くなっても簡単には打たれない。この日最大のポイントを抑えてのプロ初勝利は自信になるし、今後もますます楽しみだ。

チームとしても前日は劣勢を逆転し、この日は菅野を打ち砕いた連勝でとても価値がある。6戦全敗の苦手意識は拭い去った。次の戦いは逆に優位に戦える。

巨人対阪神 初勝利を挙げヒーローインタビューを受ける守屋(撮影・前田充)
巨人対阪神 初勝利を挙げヒーローインタビューを受ける守屋(撮影・前田充)