ロッテにとっては光が見えてくるチェン・ウェインの初登板と言えた。初回から制球は安定していた。中日時代のスピードはないように感じたが、ボールにキレはあり、緩急のあるピッチングはさすが。楽天からすれば初対戦ということもあり、2巡目以降にどれだけ対応できるか、という意識で見ていた。

6回でマウンドを降りたが、初登板としては良かった。もっと良くなりそうな期待を抱かせる内容だった。若干、コントロールが甘いなというボールもあったが、そこはさらに良くなっていくだろう。何より、すべての球種でストライクが取れる、ストライクに困っていない、そこに安心感がある。

恐らく初対戦となる打者にとっては、チェンのボールは球速よりも速く感じるだろう。スピードで測れないボールのキレというもので、カーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜ、効果的にストレートを速く感じさせていた。

この試合で勝ち星はつかなかったが、それは打線が涌井を打ちあぐねたことによるもの。むしろ、チェンの投球を見て、誰もが安心したと思う。6回、3度目の対戦となった浅村にストレートを左翼に運ばれたが、今後はスタミナを念頭に置いたピッチングが課題になってくる。

先発の一角だった岩下が離脱しているが、その穴を埋めて余りある力を見せた。これでチェン・ウェインの存在は重要な柱になったと言える。(日刊スポーツ評論家)