佐藤輝明は14日ぶりに1軍に戻ってきたが、打撃というのは急に変わるものではない。本来、打撃というのは、下半身から動きだして、バットのヘッドを出すことを我慢しながら、最短距離で捉えなければならない。そうすることで、ボール球や変化球を見極めることができ、時には打ちにいきながら、バットを止められる。前半戦に逆方向に本塁打が打てたのは、下半身をしっかりと使いながら、バットのヘッドを残せていたからだ。

打てない時期が続くと、ボールを見極めようとする意識が強くなり、ボールを見て、上、下半身を一気に動かして、打ちにいこうとする。これでは打つタイミングが遅れてしまうし、ボール球にバットを止めることもできない。だから空振りした時のスイングはものすごく淡泊に見える。またバットに当てようと、ボールの軌道にスイングを合わせようとするため、スイングが遠回りしてしまう。

第1打席がまさにそうで、内角高め直球のボール球に空振り三振したが、バットも止まらないし、最短距離でバットが出ていないので、ファウルにもできない。積極的に振っていくタイプは深みにはまってしまう。それでは今後どうすべきか。下半身主導で打つというのは基本だが、気持ちの持ちようも大事だ。エイヤで振るのは積極性ではない。1球1球に、こだわって、粘っこく振る意識も大切だ。今はそれが足りない。

第2打席で右翼ポール際へ特大のファウルを放ったが、甘い球がくれば、長打力を発揮できる打者だ。スタメンで使う以上は4打席与えて、1本出れば、ヨシとするべきだろう。この日のように7番で起用しながら、佐藤輝自身は粘っこく打席に立つ必要がある。(日刊スポーツ評論家)

中日対阪神 2回表阪神無死、佐藤輝は空振り三振に倒れる(撮影・加藤哉)
中日対阪神 2回表阪神無死、佐藤輝は空振り三振に倒れる(撮影・加藤哉)