近鉄、日本ハム、楽天で監督を務め、2度のリーグ優勝に導いた日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏が、阪神の夏場対策を説いた。リーグ戦再開後の下位チームにとりこぼさず、6連戦のフレキシブルな先発起用、リリーフ陣のやりくり、6番打者の人選、捕手の併用策など“ナシダの考え”を示した。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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阪神のリーグ戦再開後のスケジュールは、DeNA、広島、DeNA、中日と下位チームとの対戦が詰まっている。その間にある3位の広島も交流戦に大きく負け越してチーム状態は芳しくない。ここはしっかりと戦いたい。

7月に入ってくると厳しい6連戦が続く。今は優勝するなんて恐れ多いが、1つずつ借金を返済し、順位を上げたいね。そして、同24日の前半戦折り返しで勝率5割でターンするぐらいのチームプランを描きたいものだ。

先発ピッチャーはそろっている。そこで6連戦の6試合目など、秋山、藤浪らを先発させた後、いったん外して抹消し、2軍戦で調整させながら、うまくとっかえひっかえ起用するのも夏場を乗り切る方策といえるだろう。

またそれは新外国人で先発要員のウィルカーソンにもいえることだ。日本独特の湿気のせいか、得意とするチェンジアップが抜けずに変化しないから特長を生かせない。いかに先発ローテーションを再編するかはポイントになってくる。

岩崎の疲労度がどの程度かわからないが抹消はいいタイミングだった。交流戦ブレークを見越してのことだろうし、どこで復帰してくるか。アルカンタラも、どうたら、こうたら言ってるうちに計算が立つようになった。湯浅を含めたリリーフのやりくりはポイントだろう。

打線は1番はどうするのか? とは思うが、これまでの戦いをみると5番までは固定するだろう。あとは6番以降に起用する人材の見極めが大切になってくる。対戦投手の右左で、糸井、小野寺を使いながら、期待できそうにないロハスを使うのかもしれない。

それとキャッチャーは梅野、坂本、長坂の3人を使い回すのは、あまり好ましくない。またそれぞれを均等に使う必要もない。ここはチームの要になるポジションだから、投手との相性、休養を考えながら代えるのはあっても、主戦がいてサブが控える形が望ましいだろうね。

打撃練習を行う糸井(撮影・前岡正明)
打撃練習を行う糸井(撮影・前岡正明)