3軍の沖縄・那覇キャンプでバレンタインデー企画の取材をしていると、“助っ人料理男子”に出会った。

 8日で24歳となった来日2年目の育成左腕、クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手だ。

 日本でバレンタインデーといえば、女性から男性へ愛を伝える日。だがメルセデスの出身地であるドミニカ共和国では、男女関係なく互いに愛を伝え合う日とされ、男性からもプレゼントを渡すそうだ。思い出話を訪ねると「昔、彼女にサプライズで思いを伝えたことがあるよ」と照れながらも笑顔で語ってくれた。

 数年前の2月14日、同い年の彼女カロリーナさんを初めて家に招いた。大好きな彼女を喜ばせようと、事前には知らせずに手料理を振る舞った。「お母さんが働きに出ていたので、10歳くらいから留守番をしている時によく料理はしていたんだ。でも彼女に食べさせる料理だから、その時は母にも手伝ってもらったんだけどね」。エビのスパゲティ、フレンチトーストなど、テーブルいっぱいに皿を並べた。「おいしそうに食べてくれた。喜んでくれてほっとしたよ」。サプライズは大成功だった。

 12年から15年まで米大リーグ・レイズ傘下のマイナーでプレーし、先発とリリーフで計53試合に登板。188センチ、82キロと料理男子に似合わず、恵まれた体格の持ち主だ。最速153キロの直球は迫力満点で、スライダー、カーブ、チェンジアップ、シンカーを操る。1年目の昨季は2軍で18試合に登板し、2勝3敗、防御率3・29。今季の春季キャンプは3軍で終えたが、痛めていた肩の調子も順調で、ブルペンでの投げ込みも行っている。

 「家族の存在がモチベーション。妻と息子によりよい生活をさせるために頑張るよ」。

 サプライズ手料理が功を奏したのか、当時の彼女カロリーナさんは今の妻で、昨年クリストファー・ジュニアくんも誕生した。愛する人の胃袋だけでなく、支配下昇格、そしてその先のジャパニーズ・ドリームもつかんでみせる。【巨人担当 桑原幹久】