ロッテの新人合同自主トレが11日から行われている。育成ドラフト2位で入団した小沼健太投手(22=BC・茨城)も懸命に体を作る。入寮時には「今まで1人で練習してたので、やっとみんなに会えて実感がわいた気持ちでいっぱいです」と希望に満ちていた。

寮に4枚の色紙を持って来た。合わせて100人ほどのメッセージが書かれている。「2年前にアルバイトをしていた福祉施設の方々からの寄せ書きです。皆さんの気持ちを背負ってやっていこうと思って」と明かした。昨季までプレーした茨城アストロプラネッツの運営母体は、福祉事業を展開している。シーズンオフの独立リーガーは、運営母体やスポンサー企業で働くことも多いのだ。

水戸市内の障がい者就労継続支援A型施設で、3カ月間ほど支援員として働いた。「障がい者の方々が就職をするための手助けをするような。会社から送られる工具や部品を組み合わせて袋に入れてバーコードを貼って、みたいな。1人で多くの方々の手助けをする感じで」。同年代から祖父母の年代まで、幅広い世代と接した。

大変だった。それでも「言葉に気をつけながら、相手が分かりやすいように発言したり、相手の気持ちをくみとることを学ばせていただいたのが一番ですね」と学びもたくさん。県内の他の事業所にヘルプに行くこともあった。不慣れだけれど一生懸命頑張った。誠実さは届いたのだろう。4事業所から寄せ書きを贈られた。職員や利用者のメッセージで埋まっていた。

ケガなく-。温かな心配が一番多かった。「高級外車はダメだよ」とも書かれていた。家賃3万円の部屋から、ひたすら野球に打ち込める寮へ。いつかは「大きい家を建てられたら」と夢見る。寄せ書きの恩返しに、球場に全員招待できるくらいの活躍を。「かわすのではなく、真っすぐで押すところを見てほしいです」。追い風になってくれる味方がたくさんいる。【金子真仁】