見ている方も緊張感にあふれた。オリックス対ロッテの首位攻防戦の初戦を終え、疲れ切り、割とバタンキュー。本来の締め切りを少々遅れ、翌13日の朝にこれを書いている。

ひと晩たって、何が一番残っているか。白星こそ逃したが小島和哉投手(25)の投球は素晴らしかった。それを超えるとするならば、ファンの手拍子だ。今季一番の一体感だった。

ロッテはコロナ禍のこの2年、応援歌をスピーカーで流す応援をしていない。最近、ホームでは手拍子リズムのきっかけになる笛や太鼓の音だけは、スピーカーで流すようになったが、基本的に自然発生的な手拍子に限られてきた。

それなのに、手拍子がそろう。私ごとながら、音楽をやっていた時期がある。用語を使うならば、昨夜のファンの手拍子は「縦のラインが合っていた」。音の入りにずれがない。ファンは内野席と外野席で距離が離れているのに、ネット裏の高い場所にいる記者席に、ほとんどずれがなく手拍子の音が届く。

これ、けっこうすごいことだと思う。コロナ禍での球場ルールもあり、ファンへの対面取材は自粛しているが、誰かが先導しているのだろうか。9月の福岡での応援でも感じた手拍子の“束”が、12日の京セラドーム大阪では音量も含め、それを超えていった。シンクロニシティ、共鳴。そんな言葉が浮かんだ。

羽田→新千歳便にロッテファンがいた。札幌ではセイコーマートに行くたびにロッテファンを目撃し、ホットシェフ争奪戦にもなりかけた。新千歳→伊丹便にもロッテファンはいた。ユニホーム姿だからすぐ分かるけれど、皆違う人。逆転を信じて、全国を飛ぶ。

選手たちにもしっかり伝わっている。9月5日、ZOZOマリンのお立ち台で発した益田直也投手(31)の言葉が印象的だ。

「間違いなく50年以上、優勝のために声をからしながら声援を送ってくれているファンの皆さんが絶対にいると思うので、その人たちのためにも、いま応援してくれている千葉ロッテマリーンズファンのためにも、今年こそリーグ優勝、日本一というのを見せてやりたいなと思っています」

結果は12試合以内に出る。【ロッテ担当・金子真仁】