迅速な対応だった。プロ野球12球団と日本野球機構(NPB)は4日、実行委員会を開き、塁のブロッキングに関するルールの運用変更を決めた。

従来、盗塁の試みがセーフのタイミングだったのに、野手が塁を完全にふさいだため塁に到達できなかった場合、野手のブロックが送球がそれるなど不可抗力によるものと判断されれば、野手の行為は「走塁妨害」とはならず、走者アウトだった。これを変更。野手が「走塁妨害」とならないのは従来通りだが、代わって「ブロッキングベース」として、走者セーフとなる。

8月18日のDeNA-阪神18回戦(横浜)。阪神熊谷が二盗を試みたが、捕手からの送球を捕ったDeNA京田の足が二塁ベースを完全にふさぐ形となった。判定はセーフだったが、DeNAがリクエストを要求。リプレー検証の結果、熊谷の足は到達していなかったことが分かり、アウトになった。

阪神側の抗議に対し、審判団は「京田が塁をふさいだのは故意ではない」として、走塁妨害を認めなかった。ただ、このクロスプレーがきっかけとなり、運用変更につながった。

今回は、あくまで「運用」の変更だ。「ルール(=規則書の文言)」は変わっていない。それでも、判定自体はアウトからセーフへと180度、変わるわけで、シーズン中に踏み切ったのは異例と言っていい。

NPB関係者によると、迅速な対応の背景には、やはり、選手の安全に関わるということがある。8月の試合では、熊谷は衝突を懸念してスピードを緩めたという。そのおかげでケガを防げた可能性がある。今後、同様のプレーがセーフになるのであれば、走者は危険を回避しやすくなる。

また、同関係者は「映像の時代」という点を挙げた。リプレー検証の導入により、問題のシーンが繰り返し場内や中継でスロー再生されるようになった。8月の試合、検証の結果アウトとしたのは、ルールにのっとった判断だった。審判団は一連の流れの中で、京田の行為が故意か、故意でないかを判断した。だが、タッチの瞬間の塁を完全にふさいだシーンだけを見れば、「走塁妨害」との印象を受けてもおかしくない。審判団からすれば、ルール通りに判断しているのに、違うジャッジをしたという誤解を受けかねない。リプレー検証ゆえの負の側面を、ブロッキングベースの導入で減らすことができる。

繰り返しになるが、今回はあくまで「運用」の変更だ。もし、ルールから変えようとすれば、規則委員会で話し合う必要があり、もっと時間がかかる。そもそも、故意ではない行為を「妨害」とすることはできない。一方で、従来のルールでは不条理が起きていた。その穴を埋めるための「運用変更」であり、走者側、守備側、審判団全てにとっての“落としどころ”だったと言えそうだ。【NPB担当 古川真弥】

8月18日、DeNA対阪神 9回表、二盗を試みた熊谷はリプレー検証でアウトになる。遊撃手は京田
8月18日、DeNA対阪神 9回表、二盗を試みた熊谷はリプレー検証でアウトになる。遊撃手は京田