昨季は自己最多の24セーブを挙げ、今や守護神としてチームの厚い信頼を得ているのがドジャースのエバン・フィリップス投手(29)。だがここまでの道のりは、決して平たんなものではなかった。

23年10月、ナ・リーグ地区シリーズのダイヤモンドバックス戦で登板するドジャースのフィリップス(USA TODAY=ロイター)
23年10月、ナ・リーグ地区シリーズのダイヤモンドバックス戦で登板するドジャースのフィリップス(USA TODAY=ロイター)

15年ドラフト17巡目という下位でブレーブスに指名されてプロ入りし、18年7月3日にメジャー初登板を果たしたが、同月31日にオリオールズへトレード。それから約3年間はメジャーとマイナーの往復を繰り返し、21年8月には契約を解除されてFAとなった。翌日すぐにレイズとマイナー契約を結びメジャーに昇格したものの、1試合に登板しただけで再び契約を解除された。

このままでは芽が出ないまま消えかねないという土壇場から野球人生を好転させたのは、ドジャースに移籍してからだった。

転機はいきなり、初めてドジャースタジアムで練習した日にやってきた。コナー・マクギネス投手コーチ補佐から、スライダーの握りを変えることを提案されたという。それによってスライダーの回転数が増加し、横の動きが大きくなり、スイーパーとして進化した。さらに翌シーズンに入る前には、カットボールを新たなレパートリーとして加えることを提案された。

その結果、22年は64試合に登板し7勝3敗、19ホールド、2セーブ、防御率1・14、77奪三振とあらゆる投球成績で自己ベストをマークした。

フィリップスの23年投球内容
フィリップスの23年投球内容

抑えとして成長する上では、昨季途中からチームメートになった元広島の救援右腕ライアン・ブレージャー(36=広島での登録名ブレイシア)の存在が大きかったという。昨年9月のロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューで「リリーフ陣の役割分担を組織的にしっかりできたことで、勝つために自分がやるべきことに集中できた。ライアンが火消しのような重要な場面で仕事を果たしてくれたことで、自分は最後のイニングだけに集中すればよかった」と感謝している。

抑えという立場になって2年目を迎える今季はさらなる飛躍が期待される。昨季終盤には一時不振に陥ったことがあったが、ロバーツ監督は「彼がすぐに立て直せる。心配していない」と信頼を寄せた。チーム内の人間関係も良好で、昨年12月に大谷翔平投手の入団が決まったときには同僚同士のグループチャットアプリで盛り上がったと、ラジオ番組に出演した際に明かしていた。「今季は間違いなく楽しいシーズンになると思う」と胸を膨らませている。【水次祥子】

フィリップスの年度別メジャー成績
フィリップスの年度別メジャー成績

◆エバン・フィリップス 1994年9月11日、メリーランド州生まれ。15年にノースカロライナ大からドラフト17巡目でブレーブスに入団。20年11月に妻エリザベスさんと結婚し22年4月に長男が誕生。コロナ禍だった婚約時代に2人で手作りマスクを作って施設などに寄付し、注文が激増するほどの評判を呼んだ。22年にチーム最多の64試合に登板。188センチ、97キロ。右投げ右打ち。今季年俸400万ドル(約5億8000万円)。