東明館(佐賀)の甲子園初出場には同校野球部の卒業生たちも歓喜に沸いていた。OBのLINEグループには150人以上が参加しており、佐賀大会から試合がある日には各自から速報や実況が鳴りやまなかった。毎度試合結果のスコアボードを写真で送るOBもいた。14年度の主将で、現在は福岡歯科大学歯学部に在学している星崎未宙(みひろ)さん(24)は「秋、春の県予選で優勝した時も盛り上がりましたが、夏(の決勝戦前)は甲子園まであと1つとみんな盛り上がってました」と話した。

星崎さんの1学年上は部員が5人で、2学年上は1人。「練習試合では相手から選手をレンタルして試合していたそうです。東明館は中高一貫校で、中高一貫生は高校から硬式野球をしようという人はいなかった」。星崎さんの代で9人が入部し、合計15人と試合成立の人数はそろったが「少ない人数で頑張りました」と振り返る。主将を務めた14年の夏は3回戦で早稲田佐賀に敗れたが、力をふり絞った。

「3年間登録メンバーを超える部員数になったことはありませんでしたし、全く歯が立たない強豪校との練習試合も多くありました」。

ただ、当時の監督だった古賀洋部長(60)は熱心だった。「誰よりも(試合に)意気込んでいて、誰よりも諦めていなかったのは今でも不思議です。熱い熱い先生でした」。現在は豊福弘太監督(33)とともに野球部を活性化させ、部員は62人まで増えた。そして今年佐賀大会を初制覇。少人数時代を知っている卒業生からすると、感慨深い甲子園初出場だった。

10日の1回戦、日本航空戦(山梨)に0-4で敗れたが、エースの今村珀孔(はく)投手は2年生。来年もリベンジのチャンスはある。最後に星崎さんは「負けてしまいましたが、全力を尽くせたと思います!」と、惜しみない拍手を送った。【只松憲】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

10日、夏の甲子園1回戦で日本航空に敗れ涙を流す東明館ナイン
10日、夏の甲子園1回戦で日本航空に敗れ涙を流す東明館ナイン