ウエスタン・リーグ広島対阪神 9回表阪神1死一塁、左越え2点本塁打を放つ佐藤輝(撮影・清水貴仁)
ウエスタン・リーグ広島対阪神 9回表阪神1死一塁、左越え2点本塁打を放つ佐藤輝(撮影・清水貴仁)

阪神が“最終形”に入るということだろう。試合前にそう感じた。この日、ロハスを登録抹消し、アルカンタラを昇格。独断と偏見で言わせてもらえば、それでいいと思う。

マルテ、サンズと合わせた助っ人野手3人制は、正直、機能していると思えなかった。スタメンそろい踏みしたのは過去14度で戦績は7勝6敗1分け。クリーンアップを組んだのは、この日同様、青柳晃洋が先発した8月31日・中日戦(甲子園)の1度だけ。その日は敗戦に終わっている。

打力不足を外国人で補おうという狙いは、ここまでを見る限り、うまくいったとは言えない。「ロハスで勝った試合もある」という声はあるだろうが、それを言えばマルテ、サンズで勝った試合も多い。限られた外国人枠を生かす狙いで中継ぎを厚くする策に出たということだ。

助っ人2人になったこの日は、しかし、マルテに適時打が出ただけで1-2の惜敗となった。6回2失点の青柳晃洋以下、投手は踏ん張った。8回には中堅・近本光司のビッグプレーも出た。しかし打線がつながらない。8安打は放ったものの最少得点に終わった。

そんな状況を受け、怪物ルーキー佐藤輝を23日にも再び昇格させることが決まった。今月10日に佐藤輝が抹消されてからこの日までの9試合は4勝4敗1分け。ギリギリ持ちこたえているが打力不足は否定できず、このバンテリンドームでの2試合が象徴するように苦しい試合が続いている。

そこで前半戦快進撃の原動力となった佐藤輝の力に頼りたいと思うのは当然だろう。だがプロは甘くない。ファームでの調整でどこまで復調したのか。そもそも1、2軍では投手のレベルが違う。戻ったからといって、すぐ春先のように打ちまくれるかどうか。それは正直、分からない。

それでも。それでいいではないかと感じている。破壊力を感じさせない外国人野手3人でこのまま戦うより、今季から来季、未来への期待がかかる男に、胃が痛くなるようなこの時期、1軍の場で戦わせずにどうするのだ。

「テルだけに期待するということはないけど…」。指揮官・矢野燿大は言った。それはそうだろう。期待が高くても簡単ではない。みんな分かっていることだ。それでも…と思わせるものが佐藤輝にはある。残り27試合。阪神が「最終形」で最後の戦いに挑む。(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

ウエスタン・リーグ広島対阪神 9回表阪神1死一塁、左越え2点本塁打を放ち生還する佐藤輝(撮影・清水貴仁)
ウエスタン・リーグ広島対阪神 9回表阪神1死一塁、左越え2点本塁打を放ち生還する佐藤輝(撮影・清水貴仁)