毎年恒例となっている「今年の漢字」が13日、発表された。「金」ということで一瞬「カネって?」と思ったけれど、もちろん違う。言うまでもなく金メダルの「金」である。
さて03年のそれがなんだったか覚えている方はいるだろうか。こちらは昨日のことのように記憶している。ズバリ「虎」だ。闘将・星野仙一の下、虎党を驚喜の渦にたたき込んだ阪神フィーバーは関西地域を越え、日本中を巻き込んだ。それが反映された。
95年から発表されている「今年の漢字」の歴史の中でプロ野球関連が選ばれたのはこの「虎」が最初で最後。虎番記者キャップとして連日取材した対象だっただけに、こちらもうれしかった覚えがある。
そこで思うのは、ひょっとして、場合によっては今年、その候補に「輝」が上がっていたのではないか、ということだ。言うまでもない怪物ルーキー佐藤輝明の「輝」である。
前半戦の活躍は驚異的だった。こちらは「近大で打っててもプロは違うで。ましてや阪神はややこしいで」と少し斜めに見ていたのだが、なんの、あの働きぶり。一気にチームのムードまで変えてしまった。
あのまま活躍を続け、阪神が16年ぶりの優勝となっていれば、実際に候補に挙がった大リーガー・大谷翔平の「翔」とともに候補に上がったのではないか。そう思ってしまう。
しかしご存じのとおり、後半戦の大失速。前半戦がウソのように落ち込んでしまった。繰り言になってしまうが、あんな状態になるまで何とかできなかったのか。他球団の徹底マークもあって、本人が屈してしまったのが最大の理由にしても指導者側がなんとかしてやれなかったのか、とまた思ってしまう。
この日は阪神の新入団発表も行われた。「今年もいいドラフトができた。去年も本当にそう思って、今年もそう思えた年やった」。指揮官・矢野燿大は笑顔でそう話す。
希望を持って入ってくる若者を導くのは首脳陣、球団の大仕事だ。そして来年は「寅(とら)年」。楽観はできないけれどコロナ禍から抜け出し、世の中に輝きが戻ってくる中で、阪神が優勝すれば「輝」や「虎」がまた候補に上がってくるかもしれないし、そういうシーズンにしてほしい。来年の話をするのはまだ早いけれど、今からそう願っている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




