「体調不良」がキーワードになった甲子園開幕戦だった。本拠地開幕イベントで、なんだか久しぶりという感じの元監督・金本知憲らレジェンドたちの登場にわいたマンモス。だが始球式を行う予定の前監督・岡田彰布(現オーナー付顧問)は体調不良で欠席。それがアナウンスで伝えられると「ああ~」とスタンドにため息が充満した。
そしてスタメン発表。「3番サード 佐藤輝明」のコールがない。かつてなら「え~っ?」というさらに大きな声が起こるのだろうが、そこはスマホ社会。みんな報道各社の速報記事で佐藤輝の「体調不良」を知っており、その声はさほどでもなかった気がする。
「難しい」というのは、その佐藤輝の起用についてだ。体調不良で試合前練習に参加せず、スタメンにいない。普通なら、この日は欠場だろう。勝っていようと負けていようと点差があり、勝敗が見える状況なら出番はなかったと思う。
しかし今季初星を目指す才木浩人とヤクルトの左腕・高橋奎二の投手戦が終盤まで展開される。阪神最大のチャンスは7回。1死一、二塁で、梅野隆太郎に打席が回った段階で阪神ベンチは代打・原口文仁を選択。しかし併殺に終わった。
その直後の8回に才木はサンタナに適時二塁打を浴び、1失点。結局、これが決勝点になるのだが、その裏の攻撃でまた考えさせられた。先頭・木浪聖也が左前打で無死一塁。打順は才木という場面だ。この時点で才木は116球。まず代打である。そして阪神は後攻。ここは、いわゆるピンチ・バンターで、1死二塁の同点機をつくり、次につなげていくのでは。そう思ったがベンチはここで佐藤輝を代打に起用した。
やはり「才木に勝たせたい」という気持ちか。村上頌樹と並ぶエース格の才木に1勝をつけたい。そう思えば佐藤輝でこの回、一気に逆転…というプラス思考もあったかもしれない。しかし佐藤輝は三振、その後もつながらなかった。また佐藤輝が代打でいけるなら7回でもよかったのでは…という見方もあるだろう。
「体調なので。いろいろとやらないといけないことがあるので。仕方ないです」-。指揮官・藤川球児は「佐藤輝の起用法は難しかった?」というこちらの問いにそう答えた。はっきりしているのは、いまの佐藤輝には元気にスタメンを張ってもらわなければ困る、ということだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




