強い広島を相手に快勝の阪神は、陥落から1日で首位に返り咲いた。順位どうこうの時期ではないけれど、結果が出るのはいい。内容もよかった。序盤から先頭打者を出しながら得点できなかったが、4回に木浪聖也が均衡を破る先制適時打。広島の好投手・床田寛樹の暴投もあった5回は大山悠輔が快打を放った。
それを含め、大山は2二塁打だ。前日、22打席ぶりに安打をマークし、不振から抜け出した感もするし、佐藤輝明も2安打。阪神は今季初の毎回安打も記録である。モンテロに一発を食らったときはドキッとしたが、とりあえず虎党は満足できるゲームだろう。
そんな試合後に思うのは「あとは森下翔太かな」ということである。5回につなぎの四球を選んだが4打数無安打。前日にバックスピンのかかった内野安打は放っているが、手応えのある安打は10日中日戦(甲子園)の1回に先制適時打を放ったのが最後ではないだろうか。最近は表情もなんだかさえないし、スッキリしないように見える。
それもあってか流行のトルピード(魚雷)バットを使用したり、いろいろと試しているようだ。好調を維持するのは難しいとあらためて思うし、それができてこそ名選手ということになるのかもしれない。
思い出すのは約30年前、オリックスにいたイチローに聞いた話だ。若かったイチローに対して解説者などから「速球派にはバットを短く持って」などという指摘をされる場合があった。それをどう思うか聞いてみると、こんな話をした。
「どうですかね。キャンプとか普段から短く持って打つ練習をしているんなら分かりますけどね。していないですからね」-。「天才」というより実は「努力の天才」だった彼の言葉に妙に納得したものだ。
森下だけではないが、去年までなかったものをシーズン中に使って、すぐ結果が出るものだろうか…とは思う。オフからキャンプと、しっかり打ち込んできたのなら別だが。「古くさい」と言われればそうかもしれないが、そう感じるのだ。
森下に限って言えば、元々、シーズン中に複数のバットを使用するタイプなのでなんとも言えないが、大事なのは自分のやってきたことを信じることではないか。結果は出ていたのだ。どんな選手にも好不調の波は来る。いいときの状態を思い出し、焦らず、取り組んでほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




