弘前東(青森)が弘前南を9-0(7回コールド)で破り、3回戦進出を決めた。右横手投げのエース織田康太郎(3年)が5回を4安打無四球7三振、左腕鳥谷部慎吾(2年)が2回を無安打無四球3三振で無失点リレー。打線は4番長尾怜央捕手(3年)が2安打4打点など10安打を放った。青森の私立の上昇株が初の甲子園を目指し、好スタートを切った。

 弘前東が弘前南を投打で圧倒し、初戦を突破した。183センチ、76キロの大型横手投げの織田は、130キロ台後半のストレートと切れのいいスライダー、シュートをテンポよく投げ込んだ。5回まで毎回の7三振を奪い無四球で通した。守りもリズムに乗り、3回一挙6点など攻撃に反映させた。

 織田は昨夏も背番号1で出場するはずだった。ところが大会直前に左膝を痛めてリタイア。ベンチにも入れなかった。走り込みなどで回復に努めた。だが「自分の投球フォームを見失った。思い通りに腕を振ることができなくなった」。影響は尾を引いた。

 最近になってようやく復調。県外の強豪との練習試合で完封するなど力をつけて、この夏は背番号1を取り戻した。「今日は球も走っていたし、思い通りの投球ができた」と笑顔をみせた。葛西徳一監督(30)は「織田は1年秋からエース格だが、ケガで長く苦しんだ。今日は好投してくれてよかった」という。

 2年生左腕の鳥谷部は豪快なフォームから威力のある球を投げ込んだ。左右2枚で無失点リレー。このほかにも力量のある投手がそろい、層は厚い。

 青森球界は今春センバツ出場の青森山田、八戸学院光星のほか甲子園出場歴のある八戸工大一、弘前学院聖愛と私立勢が優勢。弘前東は野球部創部は80年で、弘前実-日体大で活躍した葛西監督が10年に就任。着々と強化を進めてきた。12年春に初の東北大会出場、同夏の青森大会でベスト4進出など実績を上げてきた。私立4強から5強へ。この夏が大きな勝負となる。

 「相手が同地区の弘前南さんでやりにくいところもあったが、初回に2点先制したのが大きかった。いい勝利です」と葛西監督。伏兵が青森の夏を熱くする。【北村宏平】