高校の部は履正社(近畿・大阪)が、早実(東京)を11-6で下し初優勝を飾った。履正社・安田尚憲内野手(2年)が高校通算44号3ラン含む4打点。

 安田を安田に戻してくれたのは、清宮だった。初回の76号先制弾で、見せつけられた東の看板打者の力と技術。西の看板の心も燃え上がった。1-1の3回1死一、三塁。初球を、清宮と同じ右翼スタンド中段に運んだ。「清宮のホームランで、燃えるものがありました」。高校通算44号3ラン。4回は犠飛で決勝点をたたき出した。

 春の近畿大会府予選から、新4番に座った。春も夏も無敗で6年ぶりの夏甲子園を決めた常勝打線の象徴だった。早くも17年ドラフト候補になった強打者が「試合の相手以外で初めて、負けたくないと思ったのが清宮でした」と明かした。

 開会式で目の当たりにした「世代の顔・清宮」の風格。同じグラウンドに立ち、肌で感じた勝負強さとスイング力。「レベルは清宮が上」と繰り返した。だからこそ、負けられなかった。秋の全国王者を決める決戦で、両チームを通じ最多タイの4打点。前日14日の準決勝・札幌第一(北海道)戦の初安打で目覚め、決勝で完全復活を遂げた。

 PL学園(大阪)野球部出身の人気漫画家、なきぼくろ氏が安田の応援に駆けつけていた。社会人野球・三菱重工名古屋の兄亮太さん(29)は同氏の後輩で、前田健太(ドジャース)の元女房役。父功さん(55)は2年ぶりの全国高校駅伝優勝を狙う大阪薫英女学院陸上部監督。アスリート一家に生まれ育った強打者は、父より先に全国タイトルを手にしてセンバツへ。清宮とも健闘をたたえ合い「冬に鍛えて、来年の春も夏も甲子園で優勝したい」と宣言。常勝・履正社の顔として、夏春連続の甲子園に登場する。【堀まどか】

 ◆安田尚憲(やすだ・ひさのり)1999年(平11)4月15日、大阪府生まれ。豊津第一小1年から「豊津東少年野球団」で野球を始める。豊津中では「レッドスターベースボールクラブ」に所属。履正社では1年夏からベンチ入り。今夏は甲子園大会3回戦進出。いわて国体優勝。50メートル走6秒7。遠投96メートル。好きな選手は元ヤンキース松井秀喜。188センチ、92キロ。右投げ左打ち。

 ◆明治神宮大会枠 優勝した履正社が所属する近畿に、来年選抜大会の出場枠1が与えられた。近畿の出場枠は6から7に拡大。近畿からの出場校は、秋季近畿大会で4強以上の成績を残した履正社、神戸国際大付(兵庫1位)滋賀学園(1位)大阪桐蔭(3位)が確実、8強の中で智弁学園(奈良1位)報徳学園(兵庫2位)などが有力とみられていた。選考の内規上、同一府県からの3校選出は不可。準々決勝で履正社に敗れた高田商(奈良2位)初戦敗退ながら報徳学園に善戦の東山(京都1位)が候補に挙がる見込みだ。