青森は、青森山田が最速152キロ右腕の八戸工大一・古屋敷匠真投手(3年)を2本の本塁打で攻略し、8年ぶりの決勝進出を果たした。

 青森山田が八戸工大一を5-3で下し、甲子園出場を果たした09年以来、8年ぶりの決勝進出を決めた。3-2と1点差に詰め寄られた7回裏2死から、4番阿部健大(3年)が古屋敷からダメ押し2ランを放ち突き放した。5回には赤平竜太(2年)の3ランで先制し、東北NO・1右腕を2本塁打で攻略した。

 古屋敷の直球を打ち崩さなければ勝利はない。7回裏2死一塁。狙っていた直球が内角高めに入ると、阿部は迷わずフルスイングでバットを振り抜く。打球は快音を残し、岩木山がそびえる右翼方向に放物線を描く。スタンドインを確信すると、小さく右腕を突き上げ一塁ベースを回った。

 阿部 1球に食らいつく意識を持って打席に立った。古屋敷君のウイニングショットを4番の僕がたたくことができればチームを勢いに乗せることができる。投手陣が好投していたので強いスイングを意識して気持ちで打った。スタンドに入ってくれてよかった。

 試合前日、高校時代に同じ中堅手だった父淳二さんから連絡を受け「1球に対する集中力を欠かさずに試合を楽しんでこい」とアドバイスをもらった。青森商の主将だった父が87年決勝で同じ八戸工大一と対戦し、9回に3-0から逆転負けした苦い経験を伝え聞いていた。1球に泣いた父の言葉を胸に刻んで立った打席で、値千金の大仕事をやってのけた。

 「今日は打てたが次の試合で打てるとは限らない。浮かれることなく次に気持ちを切り替えたい。リベンジしたとか考えていませんでしたが、父には感謝の気持ちを伝えたい」と阿部。父の思いも背負い、決勝に臨む。【下田雄一】