攻めて、攻めて、攻めて、初の日本一にたどり着いた。6試合すべて先攻を取り初回から攻めた。6試合中4試合で初回に先制。全試合で2桁安打を放ち9点以上を奪った。

 西川は言う。「今年のテーマは破壊力です」。一昨年は東海大相模、昨年は作新学院と、ともに150キロ以上をマークするエースと対戦し敗れた。昨秋関東大会で慶応に1-9でコールド負けを喫しセンバツ出場が絶望となると同じ埼玉の聖望学園が行っていたハンマートレーニングを導入した。6、10、15キロと3種類の重さのハンマーで古タイヤをたたいた。「握力、手首の力が増し、最後に押し込む力が付いたと思います」と西川は話す。打球に最後のひと伸びが加わり、鋭いライナーが外野の間を抜け、頭を越えた。

 試合後、弟分の2年生4番野村が涙していた。「野村の涙は初めて見た。最高のチームメートでした」。強力打線は来年ドラフトの目玉の1人、野村が引き継ぐ。99回目の夏。「破壊力」で甲子園に初めて大輪の花を咲かせてみせた。そして「埼玉県史上、最高の夏」を約730万人の県民にプレゼントした。【福田豊】

 ◆花咲徳栄 1982年(昭57)創立の私立校。生徒数は1771人(女子795人)。野球部は82年に創部。部員数137人。甲子園出場は春4度、夏5度で甲子園成績は14勝8敗1分け。主なOBはロッテ根元俊一、広島高橋昂也ら。所在地は加須市花崎江橋519。田中一夫校長。