日大三が、日大鶴ケ丘にサヨナラ勝ちを収め、5年ぶりに夏の甲子園出場を決めた。

 2番手で登板した河村唯人投手(3年)が6回2/3を投げ4安打1失点。9回には3者連続三振を奪いサヨナラ勝ちを呼び込んだ。「いつでも行ける準備はしていた。最終回は今日1番の投球をしようと気合を入れ直した。勝ててよかった」と笑顔を見せた。

 1年間で気持ちの面で成長した。昨秋は背番号1を背負ったが、センバツからは10。「1番には責任感がある。自分がつけていいのか自信がなかった」と当時を振り返る。今春センバツでは2回戦の三重戦に、ピンチで登板。自身も打たれ、0-8で敗れた。「緊急登板で心の準備もできていなかった。状況も分からず、冷静さに欠けていた」と反省。「このままではベンチを外れる」とまで考え、かつてのエースはブルペン段階から気持ちを入れて登板に備えるようになった。

 転機となったのが今春の都大会準決勝の早実戦。2番手で登板していた井上広輝投手(2年)が肘の痛みを訴え、8回途中から緊急登板し0点に抑えた。「あの日抑えられたおかげで自信がついた」と心の準備が間違いではなかったことを実感した。その気持ちを忘れないためにもこの日も「気持ち、気持ち」とマウンドでつぶやいた。

 気持ちの変化で今大会は実質エースまで成長。「野球は個人スポーツではない。支え合いのスポーツ。誰かが苦しんでいたら助ける。マウンドに行ったら、エースのつもりで投げている」と秋に足りなかった自信もついた。甲子園に向け「(センバツで行った)甲子園には悔いしかない。いつでも投げる準備はできている。目標は優勝だが、しっかり1戦1戦戦っていきたい」と力を込めた。背番号10が投手陣を支え、全国制覇を目指す。