今夏の第100回全国高校野球選手権で準優勝した金足農(秋田)の吉田輝星投手(3年)が10日、秋田市内の同校体育館内で進路表明会見を行った。

吉田はこの日の午前中に秋田県高野連にプロ志望届を提出していた。

上下黒色の制服姿で会見に臨んだ吉田は緊張の面持ちでプロへの気持ちを固めた経緯と理由を明かした。

「甲子園が終わってたくさんの方と話し合いプロ志望届を提出しました。国体が終わって監督、校長、両親、部長先生と話しをした。甲子園と国体を通して、全国大会で自分たちの力を発揮して、チームで勝てたということが自信につながって、そういう決断をしました」。さらに「幼いころからの夢であったプロ野球選手になりたいという思いが1番強かった」と話した。

夏の甲子園で準優勝した後、U18アジア選手権で日本代表としてマウンドを踏んだ経験も吉田に大きな刺激を与えた。同大会の行われた9月5日の1次リーグ韓国戦で3ランを浴びて負け投手に。さらに次のステージ(スーパーラウンド)台湾戦でも同点の場面でリリーフし負け投手となり、日本の決勝進出が絶たれる悔しさを味わった。

「U18で初めて日の丸を背負わせてもらって、その時にいいピッチングがあまりできなかったので、(プロで)もう1度日の丸を背負って、次はしっかりそういう場で勝てるピッチャーになりたいと思っています」とリベンジすべく、球界を代表する投手への意欲をみせた。

25日に行われる運命のドラフト会議に向けても12球団OKの姿勢を見せた。「プロの球団に入れるのであれば、チームは関係なく、しっかりどのチームにいっても努力したい」。対戦したいプロの打者についても「まだ(プロ入りが)決まったわけじゃないけど、プロ野球の打者は全員すごいので、プロ野球選手の打者と対戦したい」と慎重に言葉を選んだ。

甲子園決勝後から「いずれはプロで」と態度を表明してこなかったが、今月4日には既定路線だった八戸学院大(青森)に進学辞退の断りを入れていた。

同2日の福井国体では自己最速を2キロ更新する152キロを計測。今年の高校生投手NO・1の座は揺らがない。曲がり幅が違う2種類のツーシームなど8つの変化球を自在に操る。けん制、フィールディング、クイックなど投手に必要なスキルを完備し、既に高いレベルで完成されている。さらに第100回の甲子園を沸かせたスター性は抜群だ。

◆吉田輝星(よしだ・こうせい)2001年(平13)1月12日、秋田県生まれ。天王小3年で野球を始め、天王中では軟式野球部に所属。金足農では1年夏からベンチ入り。今夏は秋田大会から甲子園準決勝まで10試合連続完投勝ち。決勝では大阪桐蔭に敗れ準優勝。大会通算62奪三振は歴代6位。U18アジア選手権銅メダル。176センチ、81キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。