夢のために戦う。第101回全国高校野球選手権茨城大会の抽選会が21日、水戸市内で開かれ、93チーム100校の主将が運命のカードを引いた。文武両道の日立一は2人の才気あふれる選手を中心に7月12日の初戦から甲子園を目指す。この日は大阪、福岡、香川でも組み合わせが決定。22日からは全国のトップを切って沖縄と南北海道で地方大会の火ぶたが切られる。

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2人の才能が日立一(茨城)を聖地へと導く。

“一高のアインシュタイン”の別名を持つ高橋亮裕主将(3年)は、4年前の激闘を鮮明に覚えている。30年ぶりの甲子園出場を懸けて決勝戦を戦った先輩達は霞ケ浦に惜敗。準優勝に終わった。「今年こそ私学を倒す」と目を輝かせる。

日立一野球部には文武両道のモットーがある。ベンチ入りメンバーは全員国立大学志望。中でも高橋は、最高学府の東大志望で模擬試験の平均偏差値は70超え。特に、数学は今年の全国統一模擬試験で全国1位を記録。目標の実現へ向けて全力投球中だ。

もう1人の逸材が米国からの帰国子女・鈴木海翔外野手(3年)だ。

「時々日本語が出てこなくて英語が出てしまいます」と照れながら話す鈴木は、両親の仕事の都合で15歳までアメリカで過ごした。「どうしても甲子園に出場したい」と野球で全米ベスト12に入った実績を捨て、日立一に編入学した。

今季は、甲子園優勝経験のある桐生第一(群馬)と引き分けるなど格上チーム相手に善戦。手応えをつかんでいる。中山顕監督(48)も「この2人が伸びてきたら面白い」と期待を口にする。

日立一は、12日の初戦で取手二と勝田の勝者との対戦が決定。高橋は「自分達のプレーをするだけ」と意気込む。34年間成し遂げることができなかった甲子園出場。秀才軍団が難攻不落の私学勢へ挑戦状をたたき付ける。【倉田祥太】