全国高校野球選手権(6日開幕、甲子園球場)の県代表・日本文理(2年ぶり10度目出場)は8月1日、甲子園練習に臨む。

本番を前に、同校監督を17年夏まで31年間務め、春5度、夏9度甲子園に導いた大井道夫総監督(77)が今季のチームを分析した。日本文理は7月31日、新幹線で大阪入り。組み合わせ抽選は3日に行われる。

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大井総監督は17年夏の甲子園出場後、総監督に就任。今の立場になり初めて迎える甲子園だ。「ベンチにいる時は緊張したことはないけど、スタンドで観戦しているとドキドキするね」と笑う。1歩引いた立場で2年ぶりの夏に挑むチームを見た。

-今のチームの評価は

大井 (昨年末の当時3年生部員の不祥事など)いろいろなことがあったけど、それをよく乗り越えた。教え子でもある監督の鈴木(崇、38)は大変だったと思う。「お前、やせたな」と聞いたら「5キロやせました」と。よく頑張ったよ。

-昨秋の新チーム結成から県内負けなしの18連勝で甲子園入り。チームが固まったのはどの時期に

大井 6月はプレーの質も精神面も、しっくりきていなかった。結構、うるさく言ったけど、それでも結束を感じなかった。そこで長坂(陽、3年=主将)や捕手の佐藤(魁星、3年)、エースの南(隼人、3年)に言った。「俺がきついことを言うのは、お前たちに甲子園の素晴らしさを味わってもらいたいからなんだ」と。そこから少し変わったかな。

-どんな面で成長を

大井 力のある子は正直なところいない。特に長打力のある打者がいない。鈴木監督に言って、打撃指導は私がさせてもらった。逆方向を狙うことを徹底させました。練習試合からみんな意識してくれた。県大会でもそれが出ました。

-投手陣の成長は

大井 南を筆頭にストライクを取ることしか考えていなかった。打ち気の打者はボール球でも振る。そこでストライクを投げたら簡単に打たれます。捕手と一緒に勝負球の使い方を考えさせました。そこは伸びましたね。

-鈴木監督については

大井 監督はどうしても自分の色を出したがる。鈴木も一昨年秋の就任当初はそういう雰囲気があった。でも最近は変わりました。いかに強くするかを客観的に考えるようになった。今のチームに合った野球をしています。

-甲子園で勝つために必要なことは

大井 今までやってきたことを信じること。それぞれが100%を出して欲しい。素晴らしい舞台でやれる幸せを感じてもらいたい。その姿をドキドキしながらスタンドで見ていますよ。【聞き手・斎藤慎一郎】

◆大井道夫(おおい・みちお)1941年(昭16)9月30日生まれ、栃木県出身。栃木・宇都宮工では投手で59年夏甲子園で準優勝。早大に進学し、外野手に転向。社会人野球、宇都宮工のコーチを経て、86年に日本文理の監督に就任。甲子園では06年春ベスト8、09年夏は準優勝、14年夏はベスト4の成績を残す。17年夏甲子園(2回戦進出)を最後に勇退。同9月に総監督就任した。