<全国高校野球選手権:作新学院5-3筑陽学園>◇11日◇2回戦

1球が、1つのプレーが勝負を分ける。令和となって最初の夏。熱い戦いのワンシーンを「ヨネちゃんの『プレー』バック」と題して切り取った。

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目の前に来た走者を刺せなかった。筑陽学園・江原佑哉二塁手(3年)のタッチは「空振り」だった。延長10回、1点を勝ち越されて、なお1死一塁。ゴロを捕球後、目前の走者に逃げられた。「左にランナーが見えた。1つ(アウトを)取ろうとしたんですが」。江原が悔やんだ。

打者走者の足が速い、が頭にあった。そこで「(二塁送球より)走者をタッチする方が早いし、ゲッツーが取れる」と判断した。空タッチとなって、一塁に送球した。ターンして二塁に送球する余裕はなかった。

作新学院の走者を二塁に置くと、やっかいだ。タッチをかわして二塁に進んだ中島義明一塁手(3年)が話した。「(単打)1本で二塁からホームにかえる練習に取り組んできた。それができないと、全国では勝てないんで」。言葉通り、次打者の左前打で一気に生還し、決定的な2点目が入った。

作新学院は4盗塁を2得点に絡めた。犠飛で2点を挙げた。足を生かして得点を重ねた。さらに数字に表れない足の脅威もある。江原が併殺を逃したのは、それだった。【米谷輝昭】